2004 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性培養皿を用いた角膜内皮細胞の培養および内皮移植の検討
Project/Area Number |
14580827
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山上 博子 自治医科大学, 医学部, 講師 (50216686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40267117)
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Keywords | 培養角膜内皮細胞 / 角膜内皮細胞移植 / マウス |
Research Abstract |
角膜内皮細胞は角膜の透明性を維持し、良好な視力を保つために重要な組織である。しかし、ヒトの角膜は生体内では増殖能力をほとんど持たない。そのため、変性疾患や外傷、炎症などで角膜内皮細胞が障害され、数が減少すると、角膜は浮腫・混濁を呈して透明性を失い、視力が著しく低下する。視力回復には角膜移植が行なわれるが、わが国では移植角膜提供は少なく、常に不足している。角膜内皮細胞は、体外では増殖が可能であることが知られており、培養角膜内皮細胞が角膜移植に応用されれば、角膜内皮変性症、角膜内皮炎ほか、多くの角膜疾患患者に福音がもたらされると考えられる。 温度応答性培養皿は、東京女子医科大学・医用工学施設が開発した、温度に応じて水との親和性を大きく変化させる温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を共有結合的に培養皿表面に固定化したものである。37度では弱い疎水性を呈し細胞は接着・伸展するが、温度を32度以下に低下させると高度の親水性を示し、トリプシンなど蛋白分解酵素を必要とすることなく細胞が培養皿からシート状に脱着する。低温処理で回収した細胞シートは底面にフイブロネクチンなど細胞外マトリックスが保持されており、シートとして極性を保ちつつ再接着させることが可能であった。 マウス、ラットを用いた角膜内皮細胞シート作製にあたり、角膜内皮と実質の分離が困難で、内皮細胞に実質細胞の線維芽細胞が混入する問題があった。将来の臨床応用を念頭におき、培養にはウシ胎児血清を用いず、無血清培地での培養を行なった。マウス角膜移植では、打ち抜いた角膜片の内皮細胞を機械的・化学的に除去し、培養内皮細胞を接着させ、移植に用いた(アロ内皮細胞と、オート実質移植)。
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