2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14594009
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小浜 正子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10304560)
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Keywords | 中国近現代 / 母子衛生・母子保健 / 上海 / 1950年代 / 1人っ子政策 / リプロダクティブ・ヘルス&ライツ / 妊産婦死亡率 / 乳児死亡率 |
Research Abstract |
本研究は、近現代中国において展開された母子衛生政策の展開過程と特徴の解明をめざし、これにより、現在中国で行われている計画生育政策(いわゆる一人っ子政策)を可能にしたような乳幼児死亡率の低下・国家による個別の女性の身体管理・人々が(消極的にであれ)計画生育政策を受け容れるメンタリティ、などがどのように形成されたかを明らかにしようとするものであり、1950年代の上海における状況を重点的に研究している。 平成15年度には、引き続き上海市档案館所蔵档案などの文献史料の調査を行うとともに、当時上海で出産した女性、および母子衛生関係の仕事に関わっていた産婦人科医師・居民委員会工作者などの聞き取り調査を行った。 また、2003年度現代中国学会全国大会(10月19日、於:大阪市立大学)で「中国近現代における母子衛生政策の展開について」と題する研究報告を行った。報告内容は、急速に「近代的」母子衛生策が浸透し、その結果妊産婦死亡率・乳児死亡率の大幅な低下を見た1950年代の上海の都市社会で行われた母子衛生政策の展開過程を検討したものである。そこでは民国期の国民政府下の母子衛生政策との継続性も見て取れるが、共産党指導下の組織による大衆動員によって、衛生工作の対象が大幅に拡大したことに大きな特徴が見られる。総じて1950年代上海の母子衛生政策の展開によって、女性達のリプロダクティブ・ヘルスは向上したといえるが、それは他国とは異なった独自の方法によるものであった。このような中で女性の身体の社会的管理・国家管理も始まっていることも指摘できる。
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