2003 Fiscal Year Annual Research Report
ハラッサーの視点から見るセクシュアル・ハラスメント
Project/Area Number |
14594027
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (80201804)
|
Keywords | セクシュアル・ハラスメント / ハラッサー |
Research Abstract |
1990年代終わり以降、各大学におけるセクシュアル・ハラスメント問題への取り組みが進行してはいるが、一応の「解決」をみた後も、ハラッサーからの不服申し立てや処分取り消しを求めた反訴が起こるなどして問題が紛糾し、当事者たちのみならず、大学や文部科学省にも大きな負担となっている。本研究は、とくにハラッサー側の事態の受け止め方、すなわち「ハラッサーの意味世界」を理解することでセクシュアル・ハラスメント問題の真の解決に近づくことを目指し、とくに本年は、以下のことを行った。 (1)これまでの大学での処分事例のうちで、大学による処分にハラッサーが反訴を行っている事例について、新聞報道・裁判記録などのデータを整理し、その概要を整理した。 (2)(1)のうち、とくに、名古屋大学・大阪市立大学の事例について、大学の担当責任者、裁判の代理人である弁護士等に聞き取り調査を行って、ハラッサーによる事態への「抵抗」の詳細を調査した。 (3)大学院を舞台としたセクシュアル・ハラスメントでは、被害者・加害者の当事者たちが同一学問領域に属し被害が大学内にはとどまらず、将来にわたることが、問題の拡大と紛糾を招いている一因であることから、学会での取り組みも重要である。そこで、アメリカ社会学会他の学会における対策のあり方を調査し、日本の学会での適用の可能性について検討した。
|