2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハラッサーの視点から見るセクシュアル・ハラスメント
Project/Area Number |
14594027
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80201804)
|
Keywords | セクシュアル・ハラスメント / ハラッサー / パワー・ハラスメント / アカデミック・ハラスメント |
Research Abstract |
日本でセクシュアル・ハラスメント問題への法的・制度的取り組みが行われるようになって数年が経過したが、とくに大学で、セクシュアル・ハラスメントのハラッサー(加害者)と目され、大学の責任部署により調査や処分を受けた者が、その認定に納得せず、処分に対する不服申し立てや逆告訴を行うなどして問題がさらに紛糾するケースが相次いでいる。そのことは問題の「解決」を遅らせ、多方面にさらなる難題を与えているが、しかしハラッサーは多くの場合、セクシュアル・ハラスメントとされた自らの行為や相手の受けた「被害」について、被害者や問題の対処にあたる者とは異なる意味定義をしている。それからすれば、ハラッサーが事件・ケースの取り扱いについて抱く不審・不満は、その意味世界からすると合理的でもある。本年度は、日本でのこれまでのハラッサーによる対抗訴訟の裁判記録と、いくつかのケースについてのデータを精密に収集し、ハラッサーが当該のセクシュアル・ハラスメントについて持っている理解のパターンを分析して、関係する当事者間で事態に対する齟齬が生じる背景を検討した。また、とくに最近新たなハラスメント問題として登場しているパワー・ハラスメント問題についても、調査検討を行った。本年度扱ったのは具体的には以下の通りである。 (1)判例データベースによるハラッサーによる対抗裁判記録の整理・分析・検討。 (2)大阪市立大学事件、名古屋大学事件での対抗訴訟についての事例研究。 (3)名古屋大学におけるパワーハラスメント紛争。 (4)ミシガン大学におけるセクシュアル・ハラスメント対策、とくにハラッサーへの対処に関する調査。
|