2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14596005
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植木 龍也 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10274705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道端 齊 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00111740)
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Keywords | 脊索動物 / 環形動物 / 金属濃縮 / バナジウム / 金属結合タンパク質 / アフィニティカラム / ゲノム / EST |
Research Abstract |
生体に含まれる微量金属イオンは酸素運搬、電子伝達、酵素活性の制御、情報伝達等の重要な生理機能に欠かせない。多様な生命体の進化と金属イオンの利用形態の関連は強い関心を集めている。本研究はスジキレボヤの高選択的濃縮機能の中心的役割を担う「バナジウム結合タンパク質(vanabin)」を指標にして、バナジウム濃縮に関するタンパク質や遺伝子がアスキジア科のホヤに特有のものなのか否か、エラコにも存在するのか否か、バナジウムを濃縮しない生物にも存在するのか否か、もし存在するとしたらどのような機能を担っているのかを明らかにし、金属イオンの利用形態の生物多様性と進化という新しい研究分野を拓くことを目指す。本年度は下記の3つの研究を行った。 1.スジキレボヤ、カタユウレイボヤ、マボヤ、エラコからゲノムDNAを抽出した。サザンブロット法によって、スジキレボヤのvanabinをプローブとして、相同遺伝子を探索したが、この手法による同定はできなかった。 2.エラコからタンパク質を抽出し、バナジウム固定化アフィニティカラムクロマトグラフィによってバナジウム親和性タンパク質を精製した。 3.カタユウレイボヤのゲノムおよびESTデータベースから、スジキレボヤのvanabinと相同性の高い遺伝子を5グループ同定した。遺伝子はゲノム上で同じ向きでタンデムに配置していた。そのうち2グループは、スジキレボヤとは異なりアスパラギン酸に富むC末部分を持っていた。組み換えタンパク質を作製し、バナジウムと親和性を持つことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 道端 齊: "脊索動物-ホヤのバナジウム濃縮"化学と生物. 40. 687-692 (2002)
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[Publications] Michibata, H.: "Vanadocyte is a cell holding the key to resolve the highly selective accumulation and reduction of vanadium in ascidians"Microscop. Res. Technol.. 56. 421-434 (2002)
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[Publications] Yamaguchi, N.: "Expressed sequence tag analysis of blood cells in the vanadium-rich ascidian, Ascidia sydneiensis samea -a survey of genes for metal accumulation"Zool. Sci.. 19. 1001-1008 (2002)
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[Publications] Ueki, T.: "Vanadium-binding proteins (vanabins) from a vanadium-rich ascidian Ascidia sydneiensis samea"Biochim. Biophys. Acta. (印刷中). (2003)