2002 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド-DNA複合体を用いる簡便かつ高効率なトランスフェクション試薬の開発
Project/Area Number |
14598003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
青柳 東彦 長崎大学, 工学部, 教授 (80037267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 嘉信 和光純薬工業(株), 試薬開発部, 主任
新留 琢郎 長崎大学, 工学部, 助手 (20264210)
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Keywords | 遺伝子キャリアー / 両親媒性ペプチド / デンドリマー / トランスフェクション / 培養細胞 |
Research Abstract |
細胞内へ遺伝子を送達する手法に関する技術開発はポストゲノムにおける未知遺伝子の機能解析のためのツールとなるばかりではなく、難治疾患を克服できると期待されている遺伝子治療をより現実的なものにするための重要な技術でもある。しかし、現在使われている細胞内遺伝子導入試薬はウイルスを用いる手法に比べその効率は悪く、ハイスループットな未知遺伝子機能解析あるいは遺伝子治療へ実用化するにはほど遠い。 これまで我々はペプチド性の遺伝子キャリアーをいくつか開発してきた。本研究ではさらに高効率な遺伝子導入を可能にする化合物を検索し、市販試薬として耐え得るような分子開発を目指す。本年度はこれまで我々が遺伝子キャリアーとして開発してきたデンドリティックポリリジンを主骨格に、その末端ユニットを様々なアミノ酸に置換し、その構造と遺伝子導入効率の相関について評価した。 デンドリティックポリリジン第6世代の末端アミノ酸をアルギニン残基に置き換えた結果、DNAとの結合能は大きく変化はなかったものの、培養細胞に対する遺伝子導入効率は10倍程度向上した。また、βアラニンに置換した場合、DNA結合能は変わらなかったが、導入能は10倍程度減少した。これらの結果より、末端のカチオンはアミノ基よりもグァニジノ基が有利であることが分かった。 デンドリマー末端をヒスチジンに置換した場合、DNA結合能は低下し、さらに、遺伝子導入能も大きく低下した。しかし、pHをヒスチジンのpKaよりも低くすると(pH=5)、DNAとの結合能が現れ、さらに、、低pHで複合体を形成させて後、中性に戻し、培養細胞に添加することによって、有意な遺伝子発現が認められるようになった。このpH依存的なDNA結合および遺伝子導入能は環境によってその機能をオン/オフできることを示しており、今後、機能性遺伝子デリバリーの一つの手法になると期待される。
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[Publications] A.Yasuhiro et al.: "Artificial Viruses and Their Application to Gene Delivery. Size-Controlled Coating with Glycocluster Nanoparticles"J. Am. Chem. Soc.. (印刷中).
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[Publications] X.Yuan et al.: "Lipid-Mediated Delivery of Peptide Nucleic Acids to Pulmonary Endothelium."Biochem. Biophys. Res. Commun.. 302. 6-11 (2003)
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[Publications] T.Niidome, L.Huang: "Gene Therapy Progress and Prospects ; Non-viral Vectors"Gene Therapy. 9. 1647-1652 (2002)
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[Publications] M.Olisaki et al.: "In Vitro Gene Transfection Using Dendritic Poly (L-Lysine)"Bioconjugate Chem.. 13. 510-517 (2002)
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[Publications] Y.Mukai et al.: "Parallel and Antiparallel Dimers of Magainin 2: Their Interaction with Phospholipid Membrane and Antibacterial Activity"J. Peptide Sci.. 8. 570-557 (2002)
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[Publications] 新留琢郎(共著): "化学のフロンティア、生命化学のニューセントラルドグマ"化学同人. 10 (2002)