2002 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスにおける細胞形態の動的変化(ブレッビング)のメカニズムの解明
Project/Area Number |
14599005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵口 豊 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20243206)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ / 細胞骨格 / プロテオーム |
Research Abstract |
アポトーシスは、細胞の収縮やメンブレンブレビングに代表される特徴的な変化を引き起こす。この細胞の形態変化に関与していると考えられる分子は今までにいくつか報告されているが、形態変化のメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、アポトーシス時における細胞の形態変化のメカニズムを明らかにするため、以下の解析を行った。 これまでに、HeLa細胞の誘導株に細胞死抑制がん遺伝子Bcl-2を発現させると、Fas刺激によるアポトーシス誘導時に細胞の死は抑制されるが、細胞質の変化は影響されないことを見い出している。この系を用いると、Bcl-2の作用点から下流のシグナル伝達の影響がない状態で細胞質の変化に関係する蛋白質の変化を追跡することが可能である。細胞の形態変化に伴って変化する蛋白質をプロテオーム解析により同定するため、Bcl-2/Bcl-xLを過剰発現しているこの細胞をFas刺激し、刺激しないものをコントロールとして、二次元電気泳動し、移動度の異なるスポットについてMULDI-TOF MSを用いて解析を行った。その結果、変化する蛋白質として、Lamin A/C、Lamin B、Vimentin等の骨格系蛋白質と、Clathrin等の小胞輸送系の蛋白質を同定した。 また、上記の実験から、細胞の形態変化を誘導する新たなシグナル伝達経路が、Bcl-2やcaspase-3の作用点の上流で分岐している事を示唆してきたが、MCF7細胞ではこの経路が機能していないと考えられる。その原因を調べるため、Bcl-2を発現するHeLa細胞とMCF7細胞をそれぞれGFP、DsRedで標識し、両者を細胞融合させたところ、MCF7細胞の表現型を示した。従って、MCF7細胞にはこの新たなシグナル伝達系を阻害する因子が存在すると思われる。
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