2003 Fiscal Year Annual Research Report
アポリポプロテインEによる神経細胞死抑制機構の解明
Project/Area Number |
14599008
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
満田 憲昭 愛媛大学, 医学部, 助教授 (10314329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
|
Keywords | アポリポ蛋白E / タウ / 神経細胞死 / reelin |
Research Abstract |
研究の目的:脳においてアポリポ蛋白E(アポE)は星状膠細胞やミクログリアより分泌され、脳における脂質運搬を担っている。また同時に、神経細胞を種々の侵害刺激から保護していると考えられる。その分子生物学的メカニズムを探求する。 結果:培養神経細胞を無血清下で培養すると、細胞死をおこす。あらかじめヒトのアポリポ蛋白E3を培地中に加えておくと、細胞死は抑制された。一方、あらかじめヒトのアポリポ蛋白E4を培地中に加えておくと、細胞死は促進された。このとき神経細胞内タウ蛋白が迅速にリン酸化されていた。神経細胞内のタウ蛋白の高度リン酸化は細胞骨格の崩壊を生じ、神経細胞死に導くと考えられた。ところが、種々のリン酸化タウ特異性抗体を用いてアポE欠損マウス脳におけるタウ蛋白のリン酸化度を測定したところ、免疫組織化学的手法を用いてもウエスタンブロッティング法を用いても有意なリン酸化の亢進は認めなかった。そこで我々はタウ蛋白の高度リン酸化が知られているリーラーマウス(reelin欠損マウス)およびヨタリマウス(dab-1欠損マウス)をアポE欠損マウスと掛け合わせることにより、リン酸化タウ蛋白レベルをかさ上げし、生体内においてアポEがタウ蛋白のリン酸化に及ぼす影響を調べることとした。その結果、リーラーマウスとの掛け合わせではアポE遺伝子量が減るほどタウ蛋白の特定部位のリン酸化度が増大した。またタウリン酸化酵素の一つであるGSK-3β活性および酵素量が増大した。一方、ヨタリマウスとの掛け合わせではタウ蛋白のリン酸化度はアポE遺伝子量に依存しなかった。 考察とまとめ:reelinはアポEと受容体を共有すると考えられる。一方、dab-1はreelinやアポEの下流に存在すると考えられる。アポE(マウス)はアポE受容体、dab-1およびGSK-3βの活性化の抑制を通じてタウ蛋白のリン酸化を抑制し、神経細胞を防御していると考えられた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Ohkubo N, Lee YD, Morishima A, Terashima T, Kikkawa S, Tohyama M, Sakanaka M, Tanaka J, Maeda N, Vitek MP, Mitsuda N: "Apolipoprotein E and Reelin ligands modulate tau phosphorylation through an apolipoprotein E receptor/disabled-1/glycogen synthase kinase-3beta cascade."FASEB Journal. 17・2. 295-297 (2003)
-
[Publications] Morishima A, Ohkubo N, Maeda N, Miki T, Mitsuda N: "NFκB regulates plasma apolipoprotein A-I and HDL-cholesterol through inhibition of PPARα"Journal of Biological Chemistry. 278・40. 38188-38193 (2003)
-
[Publications] Mori K, Yokoyama A, Yang L, Yang L, Maeda N, Mitsuda N, Tanaka J: "L-Serine-mediated release of apolipoprotein E and lipids from microglial cells."Experimental Neurology. 185・2. 220-231 (2004)