2004 Fiscal Year Annual Research Report
背地順応における魚類色素細胞のアポトーシスとその調節メカニズム
Project/Area Number |
14599012
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉本 雅純 東邦大学, 助教授 (20235899)
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Keywords | 色素細胞 / アポトーシス / 背地順応 / メダカ / ゼブラフィッシュ / 黒色素胞 |
Research Abstract |
1.細胞培養系における黒色素胞のアポトーシス メダカの黒色素胞出現前のstage21〜22(受精後約2日)胚の背部由来の細胞を20%FBS存在下で培養すると、培養24時間〜4日後には多くの黒色素胞が分化し、7日後までには枝状突起が発達し、形態の複雑性を増大させた。この培養系にコレラトキシンを添加すると分化数が増加し、さらにTPA存在下では形態の複雑化が早まることがわかった。これらの培養4日または7日後の黒色素胞を用いて、ノルエピネフリン添加培養3日間によるアポトーシス誘導を調べたが、ほとんどアポトーシスはみられなかった。成魚のメダカ皮膚から分散培養させた黒色素胞ではノルエピネフリン添加により3日後には約40%がアポトーシスを生じた。分化直後の黒色素胞ではアポトーシスを誘導するメカニズムに差があると考えられた。 2.黒色素胞のアポトーシスに関連する遺伝子 1での結果をふまえて、白背地順応下の仔魚および成魚皮膚で発現の変化する遺伝子を調べた。黒色素胞関連遺伝子では、成魚でアポトーシスに対応してtrp-2の発現が減少する。しかし、仔魚またはノルエピネフリン添加培養下の胚由来黒色素胞ではtrp-2の発現に明らかな差はみられなかった。また、メダカの体色明化変異体(ci)の原因遺伝子である脳下垂体中葉ホルモン、ソマトラクチンの発現量も成魚では減少するが、仔魚では変化がみられなかった。成魚では白背地への順応3日後以降に黒色素胞のアポトーシスがみられるが、初期胚から白背地順応下で飼育した場合、黒色素胞の分化数は減少するものの、孵化後10日間でアポトーシスはみられなかった。艀化直前の胚でも白背地では黒色素胞の凝集反応により背地順応できることから、仔魚の黒色素胞では、成魚と異なり、運動性とアポトーシスを調節するメカニズムに違いがあることが示唆された。
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Research Products
(3 results)