2002 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス誘導体アポトーシスに関わるヒト・カスパーゼとその制御因子の同定
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14599014
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 先任研究員 (40182232)
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Keywords | アポトーシス / 小胞体ストレス / カスパーゼ-12 / 2-ハイブリッドスクリーニング / 腫瘍抗原 / MAGE-3 |
Research Abstract |
アポトーシスの実行因子であるカスパーゼ族は健常細胞中では不活性な前駆体として存在している。カスパーゼ前駆体がプロセスされて活性化するステップは、細胞がアポトーシスへ進むかどうかの重要な決定点の一つである。本申請課題はヒト・小胞体ストレス誘導性アポトーシスの実行機構をカスパーゼ活性の制御の面から解明することを目指している。本年度はカスパーゼ42活性化制御因子の同定を行った。 マウス・カスパーゼ-12に結合し、その活性を正または負に制御する因子を酵母2ハイブリッド法によって探索した。探索相手としてHeLa細胞のcDNAライブラリーを使用した。約1600万クローンをスクリーンしたところ、腫瘍特異的蛋白質の一つ、MAGE-3(Melanoma associated antigen-3)がカスパーゼ-12特異的結合蛋白質として得られた。MAGE-3は精巣以外の正常組織では発現が見られないが、多くの腫瘍組織(約半数)で発現が検出されている。しかし、MAGE-3の機能については全く不明である。 MAGE-3がカスパーゼ-12の活性化やプロテアーゼ活性を阻害するかどうかを試験管内及び細胞内で検討した。MAGE-3の発現系を大腸菌を用いて構築し、MAGE-3蛋白質を得た。MAGE-3はカスパーゼ-12前駆体に結合し、その活性化(プロセシング)を抑制することが判明した。MAGE-3はカスパーゼ-12活性化型のプロテアーゼ活性は阻害しなかった。MAGE-3を高発現させた培養細胞株を樹立した。この株は小胞体ストレスに対して抵抗性を獲得した。これらの結果はMAGE-3がカスパーゼ-12の活性化抑制因子として機能していることを示唆しており、癌細胞がアポトーシスを起こしにくくなっていることに寄与している可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morishima, N., Nakanishi, K., Takenouchi, H., Shibata, T., Yasuhiko, Y.: "An Endoplasmic Reticulum Stress-specific Caspase Cascade in Apoptosis/cytochrome c-independent activation of caspase-9 by caspase-12"The Journal of Biological Chemistry. 277. 34287-34294 (2002)
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[Publications] Mizumura, H., Shibata, T., Morishima, N.: "Association of HSP7O with endonucleases allows the expression of otherwise silent mutations"FBBS Letters. 522. 177-182 (2002)