2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい難病としての「好酸球性中耳炎」の全国疫学調査
Project/Area Number |
14607017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 俊光 東北大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80133958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108383)
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 教授 (60125036)
山下 敏夫 関西医科大学, 教授 (10077654)
川内 秀之 島根医科大学, 医学部, 教授 (50161279)
新川 秀一 弘前大学, 医学部, 教授 (90125584)
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Keywords | 好酸球性中耳炎 / 気管支喘息 / 難治性 / 疫学調査 / アンケート |
Research Abstract |
まず最初に、研究代表者、研究分担者らにより会合を行い、「好酸球性中耳炎」の診断基準を定めた。すなわち、成人の気管支喘息患者にみられる、にかわ状の耳漏を特徴とする、薬物療法、鼓膜チューブ留置術、手術などに抵抗性の難治性の慢性中耳炎(ただし、初期の段階では耳漏はにかわ状でないことがある。)を疑い例とし、上記の特徴を有し、耳漏または中耳粘膜・肉芽に著しい好酸球浸潤が確認された例(ただしステロイド投与中の場合には好酸球浸潤が認められないことがある。)を確実例とした。 全国47都道府県の、耳鼻咽喉科常勤医が在職する病院・医育機関1409施設に第一次アンケート用紙を発送し、過去5年間に受診した本疾患の疑い例と確実例の症例数を調査した。628施設からの回答があり(回収率44.6%)、総計で疑い例444例、確実例341例との結果が得られた。 確実例ありの施設で、かつ症例の詳細についての情報の提供が可能と回答した137施設に対して第二次アンケート調査を行った。調査項目は、年齢、性別、罹患側に加えて、鼻ポリープの有無、副鼻腔炎の有無、嗅覚障害、鼻副鼻腔の手術歴、骨導聴力の悪化の有無、ステロイド投与歴、中耳手術歴、等である。その結果、約9割の症例で両耳が罹患しており、半数において鼻ポリープと副鼻腔炎が認められ、3割の症例で鼻副鼻腔手術の既往があった。治療歴では2/3においてステロイド局所投与や全身投与が行われていた。ステロイド全身投与は気管支喘息に対し内科で行ったとするものが多かった。鼓室形成術の既往のある例はほとんどなく1割に満たなかった。本疾患の最大の問題点である骨導聴力の悪化は半数以上の症例で認められた。以上より、本疾患の難治性や不良な聴力予後が明らかとなった。
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