2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14651009
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
萱 のり子 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (70314440)
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Keywords | 書 / 作品 / 感性的認識 / 近代 |
Research Abstract |
本年度は、主として二つの課題に取り組んだ。 1.近代的芸術経験の母体となっている「展覧会」を対象とし、そこでの「作品」経験の現場をフィールドワークするとともに、関連資料を調査・収集する。 ・東京国立博物館、出光美術館、書道博物館、五島美術館、京都国立博物館、佐賀県立美術館等における常設ないし特別展を見学し、「作品」享受の前提となっている条件を拾った。 2.非漢字文化圏の視点から書画に関する芸術史研究とその方法論に関する資料を収集し、術語の分析を行う。 ・ドイツ・ハイデルベルグ大学のレダローゼ教授の書画研究資料を収集し、ドイツ国内で催された東アジア文化の展覧会の実態を調査した。また、近年行われた展覧会において、(1)それらはどのように「記述」され、紹介されているか、(2)「作品」はどのように享受されているか、をカタログに掲載された論文により分析を進めている。 書画関係の国内外のフィールドワークおよび資料収集を通して得られた概要は、以下の点である。漢字文化圏における書作品は、その鑑賞の前提に「文字の美的価値」があるのに対し、非漢字文化圏における筆跡類には、これがない。この差異は展覧会の催し方、作品に付与するキャプション、作品記述において現れる。近代以降の芸術史研究の方法を適用した西欧における書画研究には、「民族芸術としての書画」とおいえる記述がみられる。これらの資料に見られる視点は、今後の漢字文化圏における書画記述を再考する上で重要である。来年度は引き続き、その検討を進めていくことが課題となる。
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