Research Abstract |
高次機能を有する機械(ロボット)に対する認知構造を検討することを目的として,平成14年度には,意味微分法(semantic differential method : SD法)を用いた印象評定調査を実施した.評定の対象物には,ロボット(AIBO 2種類とASIMO)に加えて,両親,最も親密な同性の友人,最も親密な赤ちゃん,最も親密なペット動物,人形(2種類),漫画のキャラクター(4種類),映画のロボット・キャラクター(2種類)を選定した.SD法の形容詞対には,従来の対人認知研究に用いられてきた75対を使用し,各評定対象物に対する印象を形容詞対ごとに7段階尺度(例:非常に・かなり・やや明るい,どちらとも言えない,やや・かなり・非常に暗い)で評定することを求めた. 評定結果に対して,主因子法による因子分析を実施した結果,妥当な因子数として3因子が抽出された.第I因子に高い負荷量を示した形容詞対は,親しみやすい-親しみにくい,暖かい-冷たい,愉快な-不愉快な,などの38種類であった.したがって,この因子は親和性・温厚性・快活性に関する評価を表していると考えられる.第II因子に高い負荷量を示した形容詞対は,まじめな-ふまじめな,責任感のある-無責任な,理性的な-感情的な,などの22種類であり,この因子は誠実性・信頼性・理知性に関する評価を表している.第III因子に高い負荷量を示した形容詞対は,勇敢な-臆病な,積極的な-消極的な,自信のある-自信のない,などの15種類であり,この因子は,強靭性・意欲性に関する評価を表している.これら3因子はそれぞれ,対人認知構造の基本次元と考えられてきた,好感次元(個人的親しみやすさ),尊敬次元(社会的望ましさ),および活動性と極めて類似している.このことは,ロボットを認知する際に,対人認知の際と同様の枠組みが利用されていることを示す.
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