2002 Fiscal Year Annual Research Report
身体から発せられる匂いによって思春期の親子関係はいかに規定されるか
Project/Area Number |
14651021
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (00112003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 一之 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30226154)
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Keywords | 体臭 / 親子関係 / 思春期 / 発達行動学 / 生理学 / 快・不快感情 / ストレス / コーチゾール |
Research Abstract |
体臭が親子関係の発達的変化といかに関連するかについて,発達行動学と生理学の立場から検討を行った。発達行動学的な研究に関しては,質問紙によって小学生・中学生・高校生・大学生とその保護者に対する質問紙調査を行った。身体各部に対して,親・子がそれぞれ自分の匂いと子ども・親の匂いについてどのように快・不快感情を持っているかを評定してもらったところ,身体各部のなかでもとくに口・足の裏・脇の下の匂いを不快に感じており,それは自分自身の匂いも相手の匂いも同様であることがわかった.さらに,父親の匂いが子から強く拒否される傾向がある一方で,母親の匂いに対しては子からの拒否が非常に軽微であり,その不快度は子が自分自身の身体の匂いに対して感じる不快感よりもはるかに低いという興味深い結果を得た.ただし,事例数が必ずしも十分でないため,今後さらにデータを補充し,発達的な傾向を詳細に検討ずる予定である. 生理学的な調査では、思春期以前の子供の匂いは母親に快刺激となり接近行動を促すが、思春期以降の子供の匂いは不快刺激となり接近行動を抑制することによって、子離れを促すと考え,この仮説を検証すべく、子供の匂いが母親のストレス反応にどのような影響を与えるかを調べた。ストレスはストループテストを用いた。母親にストレスを与えると、ストレスホルモンであるコーチゾールの唾液中レベルが上昇した。次に、ストレス負荷時に思春期以前の子供の匂いを嗅がせると、母親の唾液中コーチゾールレベルの上昇を抑制したが、思春期以降の子供の匂いは唾液中コーチゾールレベルの上昇を抑制しなかった。以上のことから、思春期以前の子供の匂いは母親のストレスを緩和するが、思春期以降の子供の匂いは母親のストレスを緩和しないことが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 根ヶ山 光一: "食べる・排泄する"身体から発達を問う(新曜社). 21-36 (2003)
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[Publications] 根ヶ山 光一: "霊長類を通してみたヒト乳幼児の母子関係"心理学評論. 45. 399-410 (2002)
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[Publications] 西谷 正大: "匂う"身体から発達を問う(新曜社). 159-174 (2003)
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[Publications] 根ヶ山 光一: "発達行動学の祝座"金子書房. 174 (2002)