2002 Fiscal Year Annual Research Report
「ゆるし」の心理に関する国際比較研究-日本・中国・韓国の比較-
Project/Area Number |
14651023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仁平 義明 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10007833)
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Keywords | ゆるし / 文化 / 日本 / 中国 / 韓国 / 発達 / 性差 |
Research Abstract |
■自分に被害をもたらした相手をゆるす「ゆるし」についての考え方、感じ方が、日本・中国・韓国でどのように異なっているか、またどのような共通点を持っているかについての国際比較研究である。 ■そのため、ゆるしの調査用の質問紙を作成、国外共同研究者とともに、韓国版、中国版を作成し、調査を開始した。 韓国ではソウル、中国では長春での調査である。 ■日本国内版については、宮城県および富山県で、小学生から大学生まで、約500人の資料を得た。その結果、ゆるしの条件については、発達的変化がみられる条件と、性差が大きく出現する条件、その交互作用が出現する条件とが存在することが明らかになった。とくに、男性は相対的に、加害者側も同様な痛手を受けることを求め、相手が処罰を受け、相応の賠償をするという「具体的厳罰主義」の姿勢が一般的な傾向であった。女性は相対的に、なぜそのようなことになったか相手からの説明を求め、自分がどれだけ辛かったか傷ついたかを吐露し、相手が反省、謝罪をし、今後このようなことが二度とおこらないと再発防止を約束させるという「言語的な癒し主義」の姿勢が一般的傾向としてみられた(日本心理学会第67回大会で発表予定)。 ■ゆるしの質問紙調査においては、社会的に望ましい反応として「ゆるし」を表明する傾向がみられる。そこで調査対象者の内的な特性と「ゆるし」を表明する傾向との関連について、シナリオ形式の「ゆるし」尺度(Kanz,2000)日本版とMPIの各尺度得点の傾向との関連を分析した。その結果、Lie Scaleの得点の高い者は、他者を"ゆるす"、自分を"ゆるさない"と反応しやすい傾向があることが確認された。エフェクトサイズは小さいが、"ゆるし"尺度を用いて、単純にゆるすかどうかを質問する調査形式は、慎重に考えた方がよいことが確認された。
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Research Products
(2 results)