2003 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能障害者作業所における想起の共同実践に関する状況論的研究
Project/Area Number |
14651036
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松島 恵介 龍谷大学, 社会学部, 助教授 (50310123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水川 善文 北星学園大学, 社会福祉学部, 助教授 (20299738)
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Keywords | 高次脳機能障害 / 想起 / 忘却 / 会話分析 / 会話の組織化 / 共同実践 / 活動記録 / 相互支援 |
Research Abstract |
平成15年度は、前年からのフィールドワークを継続しつつ、学会ワークショップや研究会を企画し、様々な研究者と意見交換を行い当該作業所における想起の共同実践の構造をより具体的に明らかにすることを試みた。 研究代表者の松島は、日本心理学会67回大会ワークショップ「フィールドのなかの記憶と記録-高次脳機能障害者共同作業所における研究実践から」を企画した。松島および共同研究者の水川が話題提供を行い、参加者と共に活発な議論が交わされた。結果、想起が単なる個人的認知活動ではなく、必然的に周囲の他者や状況を巻き込んでゆく力動的な活動であることが多角的に明らかにされた。また松島は、当該作業所と共に13年度より行われている共同研究プロジェクトの報告書「高次脳機能障害プロジェクト研究第一回報告書-小規模作業所「コロポックル」における研究の軌跡」を編集長としてまとめ、関連研究者および作業所関係者・治療実践者に頒布した。当報告書において、松島は「忘却はいかにして達成されないか-高次脳機能障害者共同作業所コロポックルにおける会話分析から」、水川は「高次脳機能障害作業所における記録実践:記録への指向と共同的推論」と題する論文を執筆した。 共同研究者の水川は、エスノメソドロジー・会話分析研究例会において、同研究会と相互支援コミュニティ発達プロジェクトの共催で特別セッション「記憶のアナトミー/解剖学」を企画した。この研究例会では、松島は「忘却者の条件-高次脳機能障害者作業所における会話分析から」というタイトルで発表を行い、他のエスノメソドロジー研究者の発表者や指定討論者との討議が行われた。その結果、記憶に関する情報処理的モデルではないアプローチの可能性、すなわち状況と活動において記憶を考察するというギブソン的アプローチとエスノメソドロジー・会話分析的アプローチの連携の方向性が見出せた。
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