2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーカーによる日本型ASD(急性ストレス障害)介入モデルの開発
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14651043
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
HENNESSY 澄子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50326972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 和穂 東京福祉大学, 社会福祉学部, 助手
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Keywords | トラウマ(心的外傷) / ASD(急性ストレス障害) / PTSD(心的外傷後ストレス障害) / CRT(危機介入チーム) / CISD(急性期組織的グループ介入方式) / トラウマ・インターヴェンション・プログラム / CMD(危機管理グループ方式) |
Research Abstract |
平成14年5月から7月にかけて、1987年から2002年までに発行された心的外傷後ストレス障害の急性期(ASD)と後続期(PTSD)の治療に関する文献を調査し、インターネット検索により、同時多発テロ時に活躍した機関や個人治療士のリストを作成、またコロラド州ジェファソン郡コロンバイン高校の射撃事件後、治療に関わった機関や、治療士のリスト、アメリカ西海岸の災害や事故における危機介入チームの存在などをメモし、夏期に米国でのインタビューに備えた。研究代表者は、7月14日にニューヨーク市に赴き、アメリカ赤十字社、ニューヨーク大学病院、ニューヨーク大学社会福祉大学院、モン・サイナイ病院社会福祉部、個人セラピスト3名などを面接し、同時多発テロに於ける地域介入、グループ、家族、個人治療などを研究した。マサチューセッツ州ボストン市では、マサチューセッツ一般病院のトラウマ科を見学、社会福祉部を面接調査、ボストン大学トラウマセンターを訪問、その所長であるヴァン・デ・コーク博士が休暇中のメイン州バンゴー市に飛んで、博士の急性期介入についての提案をえた。コロラド州デンバー市で、研究分担者の石川助手と合流し、アジア系の心的外傷の治療に詳しいAsian Pacific Development Centerを二人で訪問し、日本人を含めてアジア文化圏の人々に対するトラウマに対する反応について調査する。その後、石川助手はジェファソン郡精神保健センターで、コロンバイン高校の事件の対処を研究した。代表者は、コロラド州精神保健課にて、危機介入の州レベルの対策を調査した後、8月22日より26日までロス・アンジェルス市で、UCLAの図書館にて、カリフォルニア州の地震災害対策の文献調査を行った。また、オレンジ郡危機介入チームを訪問、組織作りを研究したのち、UCLA社会福祉学部でASDとPTSDについて話し合いを行なった。石川助手はサンディエゴ市でトラウマ介入プログラムを訪問調査した。 アメリカに於ける心的外傷後の急性期介入はグループ方式が多い事が判明して、人の前で、自分の気持ちを話すのが苦手な日本人には向かないようであった。また、個人援助方式では、それを実行するボランティアの募集、訓練とその人たちの維持の対策が課題である事など日本に向かない要素と、日本でも復元できる要素があると思われた。これらをまとめて、11月23日東京都青年精神科医師研究会にて、今までの研究を口頭で発表し、意見を具申した。また2月15日に日本被害者連合会(NPO)の会長と面接、トラウマ急性期の介入に付いての意見を具申した。これは、国内調査のアンケートの対象者を見つけることが困難なので、キー・インフォーマントの方式に切り替えた為である。 現在アメリカでの急性期介入方式の研究調査と、日本のキーインフォーマントの意見をまとめ、日本型急性期介入モデルを作成中である。
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