2002 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン支配期のアンデス文書にみる文字の暴力と先住民の生存戦略
Project/Area Number |
14651073
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
染田 秀藤 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70067974)
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Keywords | 国際研究者交流 / ペルー / 歴史学 / 民族誌 / 植民地時代史 |
Research Abstract |
1,スペイン支配に抵抗したインカ王ティト・クシ・ユパンキの行動に対して、スペイン人神父バルトロメー・デ・ラス・カサスが晩年に開陳した見解を取り上げ、彼の政治理論の現代性を一次史料(代表的な著作『12の疑問に答える』)の詳細な分析によって解明した。ラス・カサスは改宗インディオの「反乱」、すなわち、スペインによる植民地経営の最初の拠点となったエスパニョーラ島(現ドミニカ共和国とハイチに二分されている島)におけるエンリキーリョの反乱やメキシコ北部のカスカン・インデイオのフランシスコ・テナマストレをリーダーとするミシュトン戦争に関して、先住民の正当防衛権を論じて「反乱」を正当化したが、未改宗のインカ王がスペイン支配を否定して立ち上がったいわゆる「インカの反乱」に対しては、正当防衛論をさらに推し進めて「民族自決権」を主張し、進行中のスペイン王によるアンデス支配の正当性を否定したのである(スペイン語にて論文発表)。 2,第五代ペルー副王フランシスコ・デ・トレドがスペイン国王によるアンデス支配の正当性を訴え、国王の政治的支配の確立を目指して企てた、「インカの反乱」に対する強硬な武力鎮圧政策(1572年、最後のインカ王トゥパク・アマルの処刑)と、スペイン人による非道な征服戦争、過酷な労働や苛斂誅求、それに免疫性のないヨーロッパの疫病の大流行などによって生じた急激な先住民の人口減少が惹起したさまざまな弊害をなくすために実施した強制的集住政策(レドゥクシオン)に通低する異文化認識の問題点を、トレドの発布した法令を分析して明らかにする作業に従事している(継続中)。
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Research Products
(1 results)