2003 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン支配期のアンデス文書にみる文字の暴力と先住民の生存戦略
Project/Area Number |
14651073
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
染田 秀藤 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70067974)
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Keywords | キリスト教 / エスノヒストリー / 文字 / 植民地主義 / 文明と野蛮 / 記録文書(クロニカ) / 国際情報交換 / ペルー:アメリカ合衆国:スペイン |
Research Abstract |
本年度は前半期において、16世紀後半のスペイン語文書に見られるアンデスの先住民インディオに関する表現の変化(「愚鈍で無知なインディオ」から「狡滑かつ大胆なインディオ」)の意味を、たんなるスペイン人の先住民認識の変化と捉えずに、過酷な征服・植民支配下で先住民が編み出した巧みな生存戦略に位置づけて解明することに従事した。そして、その成果を、2003年7月にチリの首都サティァゴで開催された(チリ大学)、世界で最も権威のあるラテンアメリカ関係の国際会議(第51回国際アメリカニスト会議:「16-18世紀の記録文書からラテンアメリカ史を再構築する」と題するシンポジウムの座長を務めた)において、「アンデス文書にみる文字の暴力と先住民の生存戦略」Violencia de las letras en los textos andinos y la estrategia de los indios para sobrevivir la dominacion espanolaと題して発表した。 後半期においては、1996年以来、17世紀初頭に先住民グァマン・ポマが著した浩瀚な文書『新しい記録と良き統治』をめぐって世界のアンデス史研究者の間に一大論争を巻き起こしている「ナポリ文書」の史料批判と解釈に従事し、11月にはイエール大学へ出張し、グァマン・ポマ研究の国際的権威である同大学のロレナ・アドルノ教授と情報および意見を交換し、同時に同大学付属のスターリング記念図書館およびバイネケ図書館で関係史料の調査と収集を行った。現在は、それらの情報や史料に基づいて、文字を知らなかったアンデス先住民が自ら文字を習得し、それを駆使して著した文書のもつ歴史的意味を多角的に解明する研究に従事している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Someda, Hidefuji: "Aproximacion a la imagen real de"los incas de privilegio""Antropologica(PUCP.Lima). (印刷中). (2004)
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[Publications] Someda, Hidefuji: "Violencia de letras en los textos andinos y la estrategia de los indios para sobrevivir la dominacion espanola"Construyendo la historia latinoamericana a partir de las cronicas de los siglos XVI, XVII y XVIII. (編集中). (2004)