2004 Fiscal Year Annual Research Report
シミュレーションによる人口変動と集落形成過程の研究
Project/Area Number |
14651074
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新納 泉 岡山大学, 文学部, 教授 (20172611)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今津 勝紀 岡山大学, 文学部, 助教授 (20269971)
松本 直子 岡山大学, 文化科学研究科, 助教授 (30314660)
|
Keywords | 人口変動 / 古代戸籍 / シミュレーション / 平均寿命 / チンパンジー / 再婚 / 弥生化 |
Research Abstract |
1 日本の古代戸籍にもとづく人口変動シミュレーションのための数値的な裏付けがほぼ確定し、標準モデルを提示することができた。これは、古代の人口研究の定点となるものと思われる。 2 古代社会は、著しい多産多死型社会であることがいっそう明らかになった。 3 古代戸籍の検討から、高年齢の夫婦ほど年齢差が大きいという事実が明らかになり、これは再婚が頻繁に行われていたことによると推定された。死別と再婚の繰り返しが、古代社会の婚姻を不安定なものに見せていると考えられ、これは古代の婚姻に関する通説的な理解と異なるものである。 4 類人猿の「人口」ピラミッドと古代戸籍の人口ピラミッドとは、共通の富士山型を示しており、その差はそれほど著しく大きいものではないことが明らかになった。従って、旧石器時代から古墳時代の間の人口ピラミッドも、おのずから一定の範囲におさまるものとなり、そうした社会について一定の蓋然性をもって生死のパターンや平均寿命を論じることが可能となった。 5 他の集団や村落との間に婚姻関係を結ぶ外婚制などのシステムについて、それが個々の集団や村落における人口変動の調節機能を果たしていることを、シミュレーションから推定した。 6 縄文時代後期後半から弥生時代前期にかけての九州の遺跡データベースを作成した。これによって、弥生化に関する人口変動シミュレーションの実施が可能となり、渡来人の役割や遺伝情報の拡散について検討できるようになった。
|
Research Products
(5 results)