2003 Fiscal Year Annual Research Report
言語計算システムの最適性条件と認知システムと脳科学
Project/Area Number |
14651081
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 捷 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20004088)
|
Keywords | 動的意味論 / 可能な意味 / 推論規則 / 結果構文 / 中間構文 / 非対格性 / 意味の受動化 / 意味合成 |
Research Abstract |
本年度は、意味論を動的なものとして捉える動的意味論を提案し、意味の合成、組み替え、埋め込みなどの動的意味操作によって、結果構文、中間構文、補文構造、推論規則の諸特徴を説明する研究をした。その内容は次の通りである。 まず、生成的意味論であるX'意味論の枠組みを提案し、意味合成の事例を検討した上で、意味の埋め込み現象について、意味の埋め込みを許す4つの意味述語を基にして、その意味述語の特性及び埋め込みに課せられる制限について検討した。さらに、これまで様々の研究が行われてきた非対格性について論じ、非対格性は意味構造の段階で決定される現象であることを指摘する。動的意味論では、意味を動的なものとして捉えるので、意味の合成、付加、削除などが可能となるが、結果構文は意味合成によって派生的に得られる構文であると仮定し、その生産性を説明するとともに、可能な結果構文と不可能な結果構文を予測することによって、可能な意味構造と不可能な意味構造の区別をする。さらに、動的意味論では一定の操作を意味に適用できるので、その一例として、意味の受動化規則によって中間構文の諸特徴を説明することを試みている。さらに、動詞の意味とその補文の統語形式(時制文と不定詞補文)との間に相関関係が存在することを指摘し、意味構造から補文の統語形式が予測可能であることを論じている。最後に、動詞の意味と統語構造の間には不整合が見られる場合があるが、その不整合は推論規則によって説明されることを論じている。
|
Research Products
(2 results)