2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14651091
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
渡辺 徳美 明治大学, 商学部, 講師 (60339562)
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Keywords | ラジオドラマ / ドイツ戦後文学 / 原爆投下 / ヒロシマ / ラジオ / フィーチャー / メディア / ドイツ |
Research Abstract |
私の研究目的は、ドイツの戦後作家たちが「ラジオドラマ」という文学ジャンルにおいて、「原爆投下」というテーマとどのように取り組んだかを明らかにすることである。平成15年度は主に、昨年度ドイツの放送局で収集した、以下の作品の分析に従事した。 1.オスカー・ヴェセル:『ヒロシマ』(1948年2月20日、北西ドイツ放送) 2.オスカー・ヴェセル:『ヒロシマ』(1948年6月16日、南ドイツ放送) 3.ギュンター・アイヒ:『夢』(1951年4月19日、北西ドイツ放送) 4.フリードリヒ・デュレンマット:『ヴェガの企て』(1955年1月20日、北ドイツ放送) 5.ヴォルフガング・バイラオホ:『日本の漁師』(1955年5月24日、バイエルン放送) 6.エルヴィーン・ヴィッケルト:『ヒロシマのその日』(1955年8月5日、南ドイツ放送) これらが音声文学であることを常に念頭に置き、テーマや構造だけでなく、音響効果の分析にも力を注いでいる。「原爆投下」という主題が、ラジオをメディアとするそれぞれの詩的世界のなかに見事に織り込まれている。また『ヒロシマのその日』に限っては、外交官でもあった作家、ニルヴィーン・ヴィッケルトによってなされたインタビューを基に制作された異色のフィーチャーである。 今年度はまた、広島平和記念資料館や広島市映像文化ライブラリー等を訪ね、原爆に関する基本的な資料を調査した。これを契機として、戦後日本のラジオを巡る状況とラジオドラマを比較の対象とすることにした。来年度は、NHKで「原爆投下をテーマとする日本のラジオドラマ」についても探ってみたい。さらに、春休みには、フランクフルトのドイツ放送アルヒーフで、私の研究テーマに関する包括的な調査を行った。この根本的な資料調査は、さらに来年度に発展させていくつもりである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Narumi Watanabe: "Gunter Eich als Rundfunkautor"The Journal of Humanities, Meiji University. Vol.10. 41-63 (2004)
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[Publications] 渡辺徳美: "「外国語としてのドイツ語」の授業に用いるラジオドラマの教授法論"明治大学教養論集. 通巻384巻. 113-133 (2004)