2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14651099
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
戸田 光彦 新潟大学, 人文学部, 教授 (10313488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀樹 新潟大学, 人文学部, 助教授 (80236306)
佐々木 充 新潟大学, 人文学部, 教授 (60105228)
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Keywords | システムズアプローチ / オートポイエーシス / 情報社会論 / ポエジー / マラルメ / 文化サブシステムとしての文学 / 図像学 / ネットワーク社会 |
Research Abstract |
文学研究への橋渡しとなる理論研究としての情報社会論のモデル構築を継続し,分析モデルの詳細化と修正改善を行った.具体的には,昨年度の成果である論文「オートポイエティック情報社会論」のモデルを拡充し,ネットワーク社会をシステムズアプローチで分析するモデルと研究を行った.研究成果を論文「ネットワーク社会とオートポイエティック情報システム」にまとめた. 文学研究にシステムズアプローチを導入するための先駆的理論として,ルーマンの芸術一般へのシステムズアプローチの適用があげられる.しかし,文学特に詩における詩性(ポエジー)の成立という観点から見た場合,ルーマンの理論には満足できない点が多い.ルーマンの理論に代わる,文学におけるシステムズアプローチ適用の可能性を探るために,実例としてマラルメの詩を取り上げ,マラルメにおけるポエジーの成立を,オートポイエーシスの観点からモデル化する研究を行った. またヨーロッパ19世紀後半における文化システムのサブシステムとしての文学を,ヨーロッパ全体を視野において考察するために,オーストリア・ハンガリー二重帝国の主要都市であったウィーン,プラハ,ブダペストに赴き,この三都市の都市構造,建築様式,文化的影響関係を実地に確認するとともに,資料収集を行った. 前年度に引き続きシステムズアプローチの適用があまり進んでいない分野である図像表象について取り上げた.具体的には,中世アイルランドの写本において書体と挿画が連動することによって一つのシステムとして一定の効果を生じている事例などを取りあげた.他方,西洋古典学からの知見を援用しっっ,特定の社会の中で「倫理」と「法」がシステム的に連動していく様態について考察を進めた.その成果の一部は,共著で出版した『知の地平 大学におけるマルチリテラシーと応用倫理』の「倫理と法」の章に示されている. 第三世代のシステム論の第一人者である河本英夫氏を昨年度に引き続き招待し,「システムズアプローチからの文学研究」と「オートポイエティック情報社会論」をテーマとする研究討論会を開催した.テーマに関する討論と共に,河本氏から専門知識の提供を受けた:オートポイエーシス理論の適用を含む最新の研究動向等. 研究成果を研究報告書にまとめた. 論文1:マラルメの詩へのシステムズアプローチ 論文2:ネットワーク社会とオートポイエティック情報システム
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Research Products
(2 results)