2002 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における民主化と社会変容にともなう法変動に関する研究
Project/Area Number |
14652001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
|
Keywords | 台湾法 / 民主化 / 法化 / 法曹 / 法曹一元 / 司法院 / 法院 / 司法改革 |
Research Abstract |
(1)訪台調査による成果として、2002年8月に台湾を訪問し、台湾高等法院、台北地方法院、司法院、台湾大学法律学院に赴いて座談会などを開いて、台湾社会における法による紛争解決の現状と問題点、改革の方向性についてヒヤリング調査を行った。司法院では直接、現在、台湾司法界のトップの座にある翁岳生院長にお会いして聞き取りすることができた。法院の調査では刑事司法が抱える諸問題が浮き彫りになり、司法院は弁護士を含めた法曹一元制を実現する方向で検討を始めていることが分かった。利用者のための法院、司法という認識が共有されはじめ、透明性の高い司法が目指されている。全体として日本法への関心が高く、日本の司法改革の行く末が注目を集めている。台湾大学では法学教育が民主化ともにいかに変わっているかを調査した。総じて民主化は社会の法化を促進することが確認された。 (2)文献による調査としては、台湾における戦後の判決、主要法律雑誌のバックナンバーを収集し、読み進めたこれを通して、とくに紛争解決における裁判を役割が、民主化の進展したがって比重を増していったことが確認された。 (3)以上を総合して、日本台湾学会(2002年6月7日、於名古屋国際会議場)では戦後の台湾における法律家の変容について報告し、それに加筆して雑誌『アジア遊学』に公表した。また、台湾の法曹制度を比較法的な視点からサーベイし、特徴、問題点、動態を整理し、広渡清吾編『法曹の比較法社会学』の1章として公表した。いずれも日本でははじめての台湾法に関する戦後の発展、展開を系統的に扱う論文となった。
|
-
[Publications] 鈴木 賢: "社会保障制度"鄭杭生・奥島孝康〔編〕『中国の社会』(早稲田大学出版部). 61-81 (2002)
-
[Publications] 鈴木 賢: "試論・東アジア法系の成立可能性"北大法学論集. 58巻3号. 900-911 (2002)
-
[Publications] 倪正茂, 楊海坤, 今井弘道, 鈴木賢: "日中法学家対話:法治勿入工具主義誤区(中国語)"社会科学報. 2002年8月1日号. (2002)
-
[Publications] 鈴木賢, 廣瀬眞弓: "中華人民共和国婚姻法 邦訳"北大法学論集. 53巻1号. 179-188 (2002)
-
[Publications] 鈴木賢, 坂口一成: "〔翻訳〕劉士国「中国民法典の制定について」「過失責任と無過失責任の交錯および中国新民法典の行方」"北大法学論集. 53巻4号. 119-138,139-155 (2002)
-
[Publications] 鈴木 賢: "外来法支配の終焉-法律家の変容に着目して-"アジア遊学. 48号. 54-66 (2003)
-
[Publications] 鈴木 賢: "台湾の法曹制度"広渡清吾〔編〕『法曹の比較法社会学』(東京大学出版会). 221-256 (2003)
-
[Publications] 鈴木 賢: "補論・中国の法曹制度"広渡清吾〔編〕『法曹の比較法社会学』(東京大学出版会). 341-384 (2003)
-
[Publications] 鈴木 賢: "法科大学院後の比較法研究・教育"比較法研究. 64号(発表予定). (2003)
-
[Publications] 本間正道, 鈴木賢, 高見澤磨: "現代法入門双書 現代中国法入門【第3版】"有斐閣. 360 (2003)