2002 Fiscal Year Annual Research Report
maritime fraudの予防措置および紛争解決に関するルールの構築
Project/Area Number |
14652007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥田 安弘 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20135776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 美加 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (70292810)
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Keywords | 海上保険 / 詐欺 / ブローカー / アンダーライター / 船荷証券 / 準拠法約款 / 裁判管轄約款 |
Research Abstract |
実質法的側面としては、本年は海上保険における保険金の詐取について、何が典型ケースであるか、紛争の実態を調査した。故意に船舶を沈める等の物理的な暴力を伴う過激な事件も少数ながら見られるものの、民事事件ではクレーム内容の不誠実に関して、どの時点のどの行為が詐欺的行為となるのか認定が困難となるものが多い。これは特に海上保険契約においてブローカーの関与が重要な役割を占め、多数の関係者が介在することにも起因するが、より問題となるのは、荷主・保険者・被保険者・引受人・ブローカーが多国籍にわたり、それぞれの商慣習に従って正当に取引行為を実現していても、詐欺と認定されることがあるという点である。我が国でも保証渡に関する一連の論点が既に指摘されているが、特に海上保険に特有の紛争として、イギリス及び極東地域のブローカーの行為準則および責任について研究した。 一方、国際私法および国際民事訴訟法の側面としては、船荷証券および海上保険証券における準拠法約款および裁判管轄約款の詐欺的使用に関するヨーロッパの判例学説を研究した。すなわち、準拠法約款または裁判管轄約款が極めて読みにくい場合、美術工芸品の輸出禁止に関する内外の法律に違反する運送に関するものであった場合、裁判管轄判決執行条約の締約国以外の裁判所に専属管轄を付与する場合、一方当事者のみが署名していた場合、これらの約款を含む普通取引約款を援用しているにすぎない場合において、これらの約款の限界を問題とする判例が多数あり、学説上もその理論的構成をめぐって多様な議論が展開されている。わが国では、これらの約款の効力を制限する解釈は、少数説にとどまっているが、かようなヨーロッパの動向は、わが国の判例学説を見直すきっかけになると思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 奥田 安弘: "船荷証券統一条約と国際私法との関係"渡辺惺之・野村美明【編】『論点解説・国際取引法』(法律文化社). 70-78 (2002)
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[Publications] 奥田 安弘: "船舶衝突事件の管轄権"高桑昭・道垣内正人【編】『新・裁判実務大系3国際民事訴訟法(財産法関係)』(青林書院). 107-111 (2002)
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[Publications] 奥田 安弘: "油による海洋汚染についての管轄権"高桑昭・道垣内正人【編】『新・裁判実務大系3国際民事訴訟法(財産法関係)』(青林書院). 118-122 (2002)
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[Publications] 奥田 安弘: "責任制限手続の管轄権"高桑昭・道垣内正人【編】『新・裁判実務大系3国際民事訴訟法(財産法関係)』(青林書院). 123-126 (2002)