2002 Fiscal Year Annual Research Report
大学発ナノ・メディソン・ベンチャーの創業におけるプライベート・イクィティの役割
Project/Area Number |
14653016
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤原 孝男 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (70173490)
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Keywords | 大学初ベンチャー / ナノ・メディソン・ベンチャー / プライベート・イクィティ / ベンチャー創業 |
Research Abstract |
「大学発ナノ・メディソンの創業におけるプライベート・イクィティの役割」に関する研究プロジェクトの初年度として、ナノ・メディソン領域でのベンチャーによる事業化の枠組みに関する国内外の基本事例の収集を主に行なった。すなわち、欧州・米国・インド及び国内における当該領域での基礎研究機関、ベンチャー企業、そして専門的投資機関としてのベンチャーキャピタル・インベストメントバンクに対する聞き取り調査を行い、中間報告として国内外の学会等で報告を行なった。 革新的技術の代表例として、情報技術、バイオテクノロジー、そしてナノテクノロジーの並存ならびに世代交代的な開発・事業化の動きが、先進国だけでなく、インドのような途上国にも、バンガロールのような特定地域を中心に大学・公的機関・民間の分業の中で生じている。バイオテクノロジーと情報技術との融合では、バイオインフォマティックスがみられるように、バイオテクノロジーとナノテクノロジーの融合領域でも、分子医療としてのナノ・メディソンを既に幾つかのハイテク集積地域において志向する動きがみられる。また、事業化の主要な推進力としては、政府による大学等基礎研究機関への基礎研究助成・サイエンスパーク整備・事業化支援、大学からの基礎研究成果に基づくスピンオフ、そして製薬大企業等のリストラによる科学者・技術者・経営者のベンチャーへの参加、ベンチャーキャピタル・投資銀行による資金的経営的支援というサイクルが一般的に見られる。特に、IPO以前の段階のベンチャーがベンチャーキャピタル等によるプライベート・イクィティを継続的に受け入れ可能となり自律的な好循環に入る1つの契機は、有望な疾病ターゲットあるいは、医薬候補としてのリード化合物の特許化にある。その意味では、ターゲットやリード化合物のバリュエーションの仕組みが、シード段階でのベンチャーが成長の軌道に乗る可能性を左右する重要な要素であると思われる。ベルギーでは、Biocode Hycel社、ドイツでは、大学のTUHH、VCのBioAgency、Noxxon Pharma社、スウェーデンでは、Affibody社、インドでは、大学のIISc、VCのICICI Venture、Gangagen社、米国では、Stanford Univ.、Inspire社、英国では、Univ. of Cambridge、VCのMerlin、スイスのUniv. of Basel、Novartis Venture Fund、Gene Data社、フランスのINSERM、Proteogenix社などが主要な訪問事例として挙げられる。 当該年度の他の関連プロジェクトには、平成14年度創造開発研究(文科省)、(財)バイオインダストリー協会「バイオ産業基盤形成調査」、(財)科学技術交流財団研究会などがある。 成果の主要な中間報告には、R&D Management Conference 2002(Leuven, Belgium)、IFSAM 6^<th> World Congress (Gold Coast, Australia)、ICMAD 2003(Delhi, India)、研究・技術計画学会第17回年次学術大会などにて野発表等が挙げられる。特に、IFSAMでは、Best Paper Awardを受賞した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 藤原 孝男: "日本的バイオベンチャーの可能性:製造現場における改善の技能からの開発・投資におけるリスク管理のスキル獲得へ"中小公庫マンスリー(中小企業金融公庫). 5月号. 6-11 (2002)
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[Publications] 藤原 孝男: "(報告要旨)産業創出における大学の役割について:バイオ・ベンチャーへの技術移転を通して"日本中小企業学会論集21:21世紀の地域社会活性化と中小企業(同友館). 第21巻. 179-184 (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "On Drug Discovery from Genetic Research on Aging through Government-Industry-Consortium Spin-off : A Japanese Trial of Bio-venture Incubation"Proceedings on R&D Management Conference 2002 (Leuven, Belgium). (In CD-ROM). (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "Global Sight and Focused Development Activity by Japan's Biotechnological Small Business : IPO Strategy of Precision System Science Co."Proceedings on IFSAM 6^<th> World Congress (Gold Coast, Australia). (In CD-ROM). (2002)
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[Publications] Christian Muller, Takao Fujiwara: "The commercialization of Biotechnology in Japan"Drug Discovery Today. Vol.7,No.13. 699-704 (2002)
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[Publications] 藤原 孝男: "バイオベンチャーの日本的経営の可能性について:水飴製造企業からのバイオ企業に転換した林原生産物化学研究所の事例を基に"第17回年次学術大会講演要旨集(研究・技術計画学会). 121-124 (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "Feasibility of Japanese Management for Bio-venture : The case of Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc."Management of Research and Development in the New Millennium (MacMillan India). 529-537 (2003)
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[Publications] 藤原 孝男編: "「バイオ・ベンチャー創業におけるビジネス・モデルの財務的評価に関する研究会」報告書"(財)科学技術交流財団. 45 (2003)