2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654003
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
前田 博信 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50173711)
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Keywords | 仮因子 / 代数的整数 / 特異点解消 / スキーム / 整数環 / 完全分解 / 判別式 / 素イデアル分解 |
Research Abstract |
昨年度に続いて整数環上の代数的スキームの特異点の研究を行った.本年度は次元が1の場合,すなわち有理整数環上の1変数多項式1つで定義される1次元スキームの特異点について研究した.その結果,この1次元スキームの特異点と,このスキームの有理関数体である有限次代数体の判別式の保因子との間に関係があることが分かり,新たな例を無限個発見することができた. 1878年にデデキントが発見した3次式x^3-x^2-2x-8を拡張して,素数pについて x^<p+1>-x^2-px-p^3=0 の定めるp+1次の代数体を考える.この体において素数pがp+1個の1次の素イデアルに完全分解することが定義方程式の特異点解消を用いて簡単に確かめることができる.したがってこの体ではpは判別式の仮因子となることが分かる.この結果は小論にまとめて現在投稿中である. 代数体の定義方程式の定める特異点の幾何学的構造と,この方程式の定める代数体の整数論的構造との間の関係については判別式の仮因子以外にも存在する可能性がある.たとえば標数ゼロの代数多様体の場合,ガロア分岐被覆の分岐点集合が単純正規交叉であれば被覆はアーベル拡大で,特異点はいわゆるトーリック特異点になる.このようなアーベル拡大と特殊な特異点との関係が混合標数においても存在するかどうかの研究を次年度に続けて行う.
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