2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654054
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 孝夫 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30091721)
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Keywords | 金属-絶縁体転移 / フェルミ端近傍の電子状態 / 高圧下赤外顕微鏡分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は全く新しい発想から、遠赤外領域で稼働する「超高真空封止型顕微鏡」を開発する事である。この顕微鏡は可視から赤外・遠赤外域までの広い波長領域をカバー出来るという他に見られない優れた性能を有するものである(「超高真空封止型」とは観測試料と共に顕微鏡の機能全てを超高真空中チャンバー内に格納し,外部からこれを操作するという全く新しい機能を備えた顕微鏡を指し、申請者が独自に発案した)。本研究により、既製品の無い遠赤外領域で初めて顕微鏡による分光実験が可能となるものである。本年度次の実験研究を行って成果を挙げ、第16回日本放射光学会年会(姫路)において口頭発表した。 本研究の中心である遠赤外領域で稼働する「超高真空封止型遠赤外顕微鏡」を設計開発した。 ・本年度は現在基盤研究(A)(2)で開発が進んでいる超高真空封止型赤外顕微鏡を構成する全ての光学部品を超高真空下の遠赤外領域で稼働するように設計変更した(既に顕微鏡を構成する各光学部品は世の中に出まわっているが、遠赤外化と真空仕様化の発想が欠けていた。遠赤外領域ではそもそも顕微鏡学的観察で求められる試料の空間分解能(50ミクロン程度)と光の波長が同程度であるため、回折効果による光の減衰が甚だしいと予測されるためたに試みがなされて来なかった)。本研究では全く新しい発想の下に、光源として極めて高い赤外・遠赤外光の輝度を有することで知られている赤外放射光(SPring-8)の利用を視野に入れている。 ・設計変更を終了し、光学系の変更により、顕微鏡のカバーする波長領域を遠赤外領域まで拡張することに成功し、具体的に遠赤外反射スペクトルの観測に成功した。 ・遠赤外領域における空間分解能の測定に成功し、0.1mm^2の良好な空間分解能が達成できた。これは当初の目標をクリヤーするもので次年度は今年度のこの成果をもとに具体的な白湯でのスペクトル観測を実施する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] L.Chen: "Optical response of Cul-xZnxIr2S4 due to metal-insulator transition"ACTA PHYSICA POLONIA B. 34. 617-620 (2002)
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[Publications] M.Matsunami: "Optical conductivity of CeNiSn, CeRhSb and CeRhAs"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 291-293 (2002)