2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654069
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (80241579)
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Keywords | 配向分子 / 振動子強度 / EELS / 立体ダイナミクス / 同時計速報 / 電子衝撃イオン化 |
Research Abstract |
本研究は、電子エネルギー損失分光(EELS)に画像観測イオン検出法を応用し、配向分子の振動子強度を測定する手法の開発を目的とする。 振動子強度の分布は光や荷電粒子と物質との電磁的相互作用一般を統括するため、EELSやその移行運動量がゼロの極限に相当する光吸収実験により盛んに測定されてきた。しかし、測定された膨大な量の振動子強度データは、標的原子分子の空間的ランダム配向により、電子や光と分子との個々の衝突の異法性に関する情報を持たない。本研究計画は、この難点を克服し、衝突ダイナミクスのより詳細な研究を試みるものである。 H14年度中に、以下の4つの研究を行った。 1.本補助金により、(非弾性散乱電子・解離イオン)同時計測用エレクトロニクス及び解離イオン検出器の製作を行った。 2.パルス電子銃を用いた水素分子の電子衝撃イオン化による解離イオンの検出を通じて、解離イオン検出器とエレクトロニクスの最適条件を検討し、これらを既存のEELS装置と組み合わせて、配向分子の振動子強度を測定するための装置として完成させた。 3.窒素分子など幾つかの二原子分子の価電子イオン化を対象とした実験を行った。その結果、S/N比は悪いものの、(非弾性散乱電子・解離イオン)同時計測信号の検出に成功した。 4.個々の検出器のカウントレートなど同時計測に関する実験条件を詳細に検討した結果、解離イオン検出器の取りこみ角を大幅に制限すれば、上記S/N比を改善できることが分った。 以上の成果を踏まえ、所期の目的である配向分子の振動子強度測定に向けて、装置の改良を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Takahashi et al.: "A high sensitivity electron momentum spectrometer with simultaneous detection in energy and momentum"Rev. Sci. Instrum.. 73・6. 2242-2248 (2002)
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[Publications] T.Hatano et al.: "Multilayer polarizers for the use of He-I and He-II resonance lines"Surface Rev. Lett.. 9・1. 587-591 (2002)
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[Publications] M.Takahashi et al.: "Probing electron momentum densities of molecular orbitals using a new multichannel (e,2e) spectrometer"Institute of Physics Conference Series. 172(in press).
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[Publications] M.Takahashi et al.: "Polarization measurements of laboratory vuv light : a first comparison between multilayer polarizers and photoelectron angular distributions"J.Electron Spectrosc. & Related Phenom. (in press).
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[Publications] M.Takahashi et al.: "Impact energy dependence of momentum profiles of glyoxal and biacetyl and comparison with theory at their high-energy limits"J. Phys. B : At. Mol. Opt. Phys.. (in press).
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[Publications] 高橋正彦: "イオンの反跳運動量の高分解能測定"分光研究. (印刷中).