2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654074
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 嘉久 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (00174219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 健 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (60346046)
|
Keywords | 走査熱顕微鏡 / ガラス転移 / 高分子 / 結晶化 / クレイズ / 変形 |
Research Abstract |
前年度に引き続きポリエチレンテレフタレート(PET)およびアタクチックポリスチレン(aPS)の冷延伸過程におけるクレイズの生成とネック変形という2つの塑性変形による変形領域およびその近傍での熱的・粘弾性的性質を原子間力顕微鏡(AFM)、白金抵抗型走査熱顕微鏡(SThM)により調べた。動的粘弾性測定により通常のT_gよりも低温の領域に新たな緩和モードが現れることを、AFM、SThMによる観測により、クレイズにおけるガラス転移点が局所的に低温側へ移動することを見いだした。X線小角散乱によりクレイズを含む試料の温度変化を測定し、新たに見出した緩和温度域で散乱強度の減少を確認した。種々のクレイズ生成条件において局所的な構造変化と熱特性との関係を調べ、ガラス転移点の低下はクレイズ密度が小さいほど大きくなること、またクレイズからの距離とガラス転移点の変化の関係から、クレイズ近傍では、クレイズに近づくにつれてガラス転移点が徐々に低下していく傾向を確認した。これは分子鎖の易動度の緩和域における増加のためクレイズ部のヒーリングが生じ、ボイドによる散乱が減少したものと考えられる。クレイズ生成を伴う塑性変形の場合、動的粘弾性測定により通常のガラス転移点よりも低温の領域に新たな緩和モードが現れること見出し、AFM、SThMによる観測により、クレイズにおけるガラス転移点が局所的に低温側へ移動することを確認した。これらの解釈はX線小角散乱、熱的・粘弾性的測定の結果を矛盾なく説明するものである。
|
Research Products
(4 results)