2003 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン地球化学の創設を目指して-続成過程におけるアニオンの分別現象の解明-
Project/Area Number |
14654097
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 鋼志 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (70183689)
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Keywords | アニオン分析法 / アンモニア溶液抽出 / 中性・塩基性岩 / 頁岩 / 硫酸流出 / 盛土問題 |
Research Abstract |
初年度に開発したアニオン分析方法を、酸性岩である花岡岩・流紋岩に引き続き中性岩である安山岩と塩基性岩である玄武岩に適用し、その応用範囲を確認するとともに、堆積岩への適用の可能性の検討を行った。しかし、300度3日間の抽出により、地質調査所発行の安山岩(JA-1,-2)や玄武岩(JB-1a,-2)からは30〜50パーセント程度の回収率しか得ることができず、堆積岩への応用が困難であることが明らかとなった。これは、酸性岩の場合、アンモニア塩基性条件で再結晶を起こしやすい石英などの鉱物が多く含まれるのに対し、中性岩や塩基性岩に含まれる鉱物がアルカリ条件下で再結晶を起こしにくく、鉱物内に含まれるアニオンを抽出できないことが原因と考えられる。従って、続成過程におけるアニオンの分別を明らかにする当初の目的に、本研究で開発した方法が提要できないことが明らかとなった。 そこで、本来の研究目的とは異なるが、堆積岩と水を反応させることにより、どのようにアニオンが水に溶出するかを観察するために、115メッシュに粉砕した泥質岩と超純水を1対10の比率でビーカーに加え、空気のバブリングによる攪拌を行いながら、700時間にわたって継続試験を行った。その結果、泥質岩は水と反応すると数分以内にpHが3までさがり、700時間に向かって徐々にpHが回復していく様子が明らかとなった。このpHの低下は、主に硫酸イオンの寄与によるものであり、硫酸イオンとして水相に50〜150ppm溶出していることが明らかとなった。トンネル掘削等により出される土砂等の盛り土に、雨水がしみこんだ場合に同じ反応が起きることが考えられ、環境問題として科学的に検討する必要性のある課題と考えられる。
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