2002 Fiscal Year Annual Research Report
光エネルギーの高品位化を目指した人工Zスキームの構築
Project/Area Number |
14654119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石谷 治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50272282)
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Keywords | 金属錯体 / 光化学 / 人工Zスキーム / 半導体-金属錯体複合体 |
Research Abstract |
本研究において、金属錯体の1電子還元を効率よく生成する方法を開発することは重要である。特に、二酸化炭素光還元反応の触媒を中心に研究を進めるため、本研究では、リン配位子をもつレニウムビピリジン錯体、[Re(bpy)(CO)_3{P(OEt)_3}]^-(1^+)および[Re(bpy)(CO)_2{P(OEt)_3}_2]^+(2^+)のOER種を電解反応により合成し、反応性を検討した。また、フロー電解装置により、安定的にこれらの金属錯体が1電子還元されることを確認した。この電解装置とFT-IRおよび光照射装置を組み合わせたOER種の(光)反応性を調べるシステムを構築し、OER種とCO_2の反応速度やOER種の光励起状態について調べた。CO_2雰囲気下で1を放置するとゆっくりとCOが生成した。生成したCOは1の量、すなわち電解により加えた電子数の約2分の1であった。反応終了後の溶液のIRを測定したところ、ほとんど1^+が再生していることが分かった。2^+の場合も、ほぼ同様の結果が得られた。OER種(M^<-・>)の初期量の約2分の1のCOが生成したことより、生成したOER種2分子で、COが1分子生成することが分かる。またOER種は、過剰CO_2共存下において一次で減少することが分かっているので、M^<-・>は、まずCO_2と反応し中間体(M'-CO_2)を与えることは明らかである。IRより、原料錯体はほぼ定量的に再生していることも分かった。従ってCO生成は、M'-CO_2とM^<-・>もしくは、M'-CO_2の2分子反応をへて進行し、同時にMが再生すると考えられる。光触媒反応も、同様の機構で反応がCO生成が起こっている可能性が高いことがわかった。フロー電解法で生成したOER種に光を照射すると、CO_2との反応が加速されることが観測された。同時に金属錯体の分解も起こっていることが、IRの結果よりわかった。現在、OER種の不活性ガス雰囲気下での光反応性を調べている。CdSおよびZnS上にRe(bpy)(CO)_3を配位させる方法の開発を進めた。[Re(bpy)(CO)_3(THF)]^+とナノサイズの半導体微粒子をTHF中で加熱反応させると、目的の複合体が得られた。XPS、IR、可視紫外吸収スペクトル、発光、TEM等を測定した。
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