2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14654135
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小川 琢治 愛媛大学, 理学部, 助教授 (80169185)
|
Keywords | ルテニウム錯体 / 単電子トランジスタ / クーロンブロッケード現象 |
Research Abstract |
当初の計画通り、ドープシリコンを用いた、ギャップ長が50-80nmのナノ電極を作成した。 また、5nm程度のデンドリマーの絶縁層で覆われたルテニウム錯体を合成した。このルテニウム錯体の電気化学的特性を計測したところ、以下のことが判った。(1)銀標準電極に対しておよそ1V付近に酸化側のレドックスが有り、-1から-2V付近に還元側のレドックスが3つ有る。(2)デンドリマーの大きさが大きくなるに従い電子移動の速度が遅くなり、ピークの半値幅が広くなる。次に、このルテニウム錯体を、以前作成してあった金のナノギャップ電極に取り付けて、室温で微分コンダクタンスを測定したところ、一つのデバイスでは、+11V付近に一つのピークと-10から-20Vの間に3つのピークが観測された。この値は、同一のデバイスに置いては再現性のある値を示した。異なるデバイスに置いては、そのピーク電圧の定量的な再現性は無いが、定性的にはほぼ同様に明確なピークが観測された。一つの分子の大きさが約5nmで電極間距離が約50nmなので電極間には分子が約10個並んでいると見積もることが出来る。各分子に均等に電圧が掛かると仮定すると、+11Vの電圧は一つの分子あたりでは+1.1Vになり電気化学的な測定と一致する。負電圧側も同様である。これらのことから、有機金属錯体分子の電子状態を反映した電子デバイスの作成に成功したといえる。 現在、この現象が、用いる分子の大きさ、分子の数、分子の電子的な性質にどのように影響されるのか、ゲート電圧の変化によりどのような振る舞いが見られるのか、電極の金属をドープシリコンに変えた場合にどのようになるのか、分子をより整列させた形で電極に乗せると定量的な再現性が出るか、を検討中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hirokazu Sato, Eri Senbara, Takuji Ogawa: "Synthesis and properties of meso-tetraaryl rhodium porphyrin with axial ligand of molecular wire"International Journal of Nanoscience. (in press).
-
[Publications] Seisuke Maeda, Takuji Ogawa: "Formation of gold nano-particles/oligothiophene dithiols composite thin films between micro-gapped gold electrodes and their electronic properties"International Journal of Nanoscience. (in press).
-
[Publications] Hiroaki Ozawa, Takuji Ogawa: "Synthesis of thick porphyrin molecular wires by a palladium catalyzed oligomerization"International Journal of Nanoscience. (in press).
-
[Publications] Hiroaki Endo, Takuji Ogawa: "Synthesis of novel nano-meter size ruthenium complexes for single electron charging devices and their electrochemical properties"International Journal of Nanoscience. (in press).