2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素キレートのエンド型開環反応を機軸とする新規有機合成手法の開拓
Project/Area Number |
14654138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50006326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 敦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30322796)
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Keywords | エポキシド / ホウ素キレート / エンド型開環反応 / アジド置換反応 / ハロゲン置換反応 / シアノ置換反応 / スルフェニル置換反応 |
Research Abstract |
2,3-エポキシアルコール類の位置選択的求核置換反応は重要な有機合成手法の一つである。しかし,従来開発されてきた2,3-エポキシアルコールの求核置換反応はアジド化,アルキル化,シアノ化,ハロゲン化,スルフェニル化などを含め全てC3位選択的置換反応に限られており,これに対しC2位選択的求核置換反応は全く知られていない。本研究は,「エポキシアルコールのホウ素キレートを経由する先例のないエンド型,すなわちC2位選択的置換反応の開発」を目指し,エポキシドの化学および有機合成化学に新局面を拓くことを目的として行われた。平成14年度の成果は以下の通りである。 (1)ホウ素キレートのエンド型開環反応を機軸とするC2位選択的アジド置換反応の開発 2,3-エポキシアルコールをDMF中,ホウ酸トリメチルの存在下アジ化ナトリウムと反応すると,C2位アジド置換生成物が高収率かつ高立体選択的に得られることを発見した。本反応は,エポキシアルコールのC2位選択的アジド置換反応を内外に先駆けて実現した最初の例である。 (2)ホウ素キレートのエンド型開環反応を機軸とするC2位選択的スルフェニル置換反応およびシアノ化反応の開発 同様に,ナトリウムチオフェノキシドによるスルフェニル化反応ならびにシアン化ナトリウムを用いたシアノ置換反応を検討したところ,いずれもC2位置換生成物が高収率かつ高立体選択的に得られることを見出した。これらの成果はエポキシドの化学に新局面を拓くものであり,現在成果をドイツ化学会誌に投稿中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Atsushi Hirai: "Stereospecific Interconversion between cis-and trans-2,3-Epoxy Sulfides"Angew. Chem. Int. Ed.. 41・5. 819-821 (2002)
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[Publications] Mio Sakai: "Synthetic studies of zoanthamine alkaloids. Stereoselective synthesis of the ABC ring system of norzoanthamine by an intramolecular Diels-Alder reaction"Tetrahedron Lett.. 43・9. 1705-1708 (2002)
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[Publications] Keiji Tanino: "Stereoselective Synthesis of Cycloheptanone Derivatives via an Intermolecular [5+2] Cycloaddition Reaction"Org. Lett.. 4・13. 2217-2219 (2002)
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[Publications] Keiji Tanino: "Total Synthesis of Ingenol"J. Am. Chem. Soc.. 125・61. 1498-1500 (2003)