2002 Fiscal Year Annual Research Report
染色体テロメア長を指標とした新しい生態系管理手法の開発に関する研究
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14654159
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
田中 法生 独立行政法人 国立科学博物館, 筑波研究資料センター, 研究官 (10311143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 徹 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 研究員 (50300851)
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Keywords | コカナダモ / RAPD / 帰化植物 / クローン |
Research Abstract |
水生植物コカナダモElodea nuttallii (Planch.) St. Johnは、湖沼、河川および水路などに群生している沈水性の多年生植物で、アメリカ北東部原産で、雌雄異株で有性生殖を行い繁殖している。しかし、日本では全個体が栄養繁殖によって無性的に増殖したクローンから構成されていると考えられている。本年は、研究の第一段階として、国内各地のコカナダモの遺伝的変異を、RAPD解析を用いて検証することを目的とした。 各生育地より採取したコカナダモからCTAB法を用いてDNAを抽出し、RAPD-PCRを行った。得られたバンドの不一致度を算出し、これをもとにUPGMA(群平均法)を用いて遺伝的類似度図を作成した。 日本各地の14地域16地点のコカナダモを採取し、RAPD解析による多型の検出をおこなった結果、60種類のプライマーのうち13種類で多型がみられた。13種類のプライマーにそれぞれ1-4個変異バンドが見られ、合計26種類の変異マーカーが得られた。これより、本研究において各地より採取した14集団は単一の系統からなるクローンではないことが推定された。しかし、日本に生育しているコカナダモは雄株のみであることから、栄養繁殖により増殖していることは明らかである。すなわち、日本に導入されたコカナダモは導入時点ですでに遺伝的変異を持っていたと考えられる。 また、作成した遺伝的類似度図において、検出できた変異に地域間にまとまりは見られなかった。この結果から、コカナダモの日本への侵入の際に由来の異なる系統個体が日本各地にランダムに侵入し、生育を広げたという可能性、または様々な変異をもつ個体が多く日本に持ち込まれ、それらが日本国内で何らかの要因で各地に広がっていったという可能性などが考えられた。
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