2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物の傷害応答における細胞死情報解析システムの開発
Project/Area Number |
14654167
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
新免 輝男 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80114510)
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Keywords | 傷害 / 膜電位 / 脱分極 / クロライドチャンネル / シャジクモ / ストレス / 活動電位 / アオミドロ |
Research Abstract |
傷害は植物にとってもっとも深刻なストレスの一つである。植物は傷害に対して様々な応答を示す。傷害の情報は先ず死んだ細胞の隣の細胞が受容するものと考えられる。一般的に、外界からの情報は先ず細胞膜で受容されることが予測される。また、受容には膜電位の変化が起こることが予測される。私はシャジクモ類の利点を活かして、死んだ細胞の隣の細胞が傷害を受容する解析するシステムを開発するために本申請を行った。本研究計画の申請前に、脱分極性の応答を記録することに成功していた(Shimmen(2001)Plant and Cell Physiology 42:366-373)。脱分極応答として、1)ゆっくりと長く続く応答、2)小さいスパイク、3)活動電位が見られた。また、これらの応答が起こるためには膨圧の存在が必要であった。本年度はこの成果を基盤として解析を進めた。 オオシャジクモを用いて、二つの節間細胞からなる試料を調製した。一方の細胞(犠牲細胞)を切断し、もう一方の細胞(受容細胞)における電位応答を測定した。本年度の研究において、先ず、上に述べた三つの電位応答に加えて非常に速い応答が存在することを明らかにした。その発生にも高い膨圧の存在が必要であり、さらに、その脱分極は細胞の末端で発生することが明らかになった。さらに、脱分極応答は細胞膜のクロライドチャンネルが開くことによって発生することが分かった。 シャジクモ類の細胞を用いた研究の延長として、アオミドロを用いた解析も進めている。アオミドロのが傷害を受けて、藻体の一部が切断されると、末端となった細胞はその位置を認識し、仮根へと分化する。その位置認識には膨圧が必要であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shimmen, T.: "Electrical perception of death message in Chara : analysis of rapid component"Plant & Cell Physiology. 43. 1575 (2002)
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[Publications] Inoue, N., Yamada, S., Nagata, Y.Shimmen, T.: "Rhizoid differentiation in Spirogyra : position sensing by terminal cells"Plant & Cell Physiology. 43. 479 (2002)