2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物の傷害応答における細胞死情報受容解析システムの開発
Project/Area Number |
14654167
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
新免 輝男 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80114510)
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Keywords | オオシャジクモ / 傷害応答 / 細胞死 / 膜電位 / アオミドロ / 仮根 / 分化 / クロライドチャンネル |
Research Abstract |
オオシャジクモの利点を活かし、植物の傷害に伴う電気応答の解析を行った。二つの節間細胞がつながった試料を作成し、一方の細胞(犠牲細胞)を切断した時にもう一方の細胞(受容細胞)で発生する電気シグナルを解析した。その結果、以下のような成果が得られた。 1)受容細胞において4種類の電気応答が観察された。(1)非常に速い脱分極、(2)ゆっくりとした脱分極、(3)小さいパルス、(4)活動電位。解析の結果、(1)(2)は受容細胞の末端で発生し、(4)はその側部で発生することが分かった。また、脱分極にはクロライドチャンネルの活性化が関与していることが明らかとなった。このクロライドチャンネルは(1)または(2)の発生に関与していると考えられる。 2)傷害前には、両細胞の隔壁は膨圧のバランスによって平衡が保たれている。しかしながら、犠牲細胞が切断されると、その膨圧が消失するために、受容細胞の末端に強い張力が与えられる。この張力変化が原因となって、脱分極が発生する可能性がある。そのような観点から解析を進めた結果、節細胞の外液の浸透圧を上げて、膨圧を変化させると、一過性の脱分極が起こった。すなわち、細胞は圧変化を電気シグナルに変換する機能を持つことが分かった。このような機構は高等植物における傷害応答のシグナル伝達にも関与していることが報告されている。 3)アオミドロの傷害に伴う仮根分化の解析を行った。仮根は末端の細胞のみで形成されるが、どのような機構で末端細胞が自分の位置を認識するかは知られていなかった。解析の結果、膨圧によって、末端に張力が発生することによって、末端細胞はその位置を認識することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)