2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655013
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 俊隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20237308)
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Keywords | リゾチーム / ベヘン酸 / 吸着 / 結晶化 / 配向 / AFM / FT-IR |
Research Abstract |
本年度は、(1)単結晶基板の作製と評価ならびに、(2)タンパク質分子吸着過程の観察に加え、一部先行して(3)基板上へのタンパク結晶の成長とその配向評価を行った。 まず、基板となる結晶として、真空蒸着法により作製した脂肪酸薄膜及ならびに水素終端されたSi単結晶(以下H-Si)の作製と評価を行った。脂肪酸としては常温前後での蒸着が容易なベヘン酸を選び、その蒸着条件を適切に設定することにより被覆率、膜の構造の異なる良く定義された薄膜を作製することに成功した。また、弗化アンモニウム処理により、H-Si表面を作製し、これが水素のみで終端された1×1構造をもち、原子スケールで平坦あることをRHEED、FT-IRならびにAFMにより確認した。さらに、このH-Si表面を純水中に浸したときの安定性についても検討した。 これらの基板の上にタンパク質を吸着させることを試みた。タンパク質としては、構造ならびに特性が最も良く知られているlysozymeを取り上げ、これを未飽和状態となるよう純水中に溶かし、AFMでその場観察を行った。H-Si面については、はっきりとしたデータが得られていないが、ベヘン酸薄膜については、その表面に分子が吸着している様子が観察された。このとき、ベヘン酸薄膜の構造、ステップの有無には依存せずランダムに吸着する傾向が見られた。 また、作製したベヘン酸薄膜上にリゾチームの結晶化を行ったところ、単層膜上でのみ{110}面を薄膜に平行に向けた結晶が観察され、それ以外の条件ではこれはみられなかった。一方、{101}面を薄膜に平行に向けた結晶は膜の厚さ、構造によらず、常に同様の数が得られた。以上の結果の一部は立命館理工学研究所主催のシンポジウムならびに同紀要で既に発表し、また春の日本物理学会及びつくばで行われる国際会議(ISDSB2003)で発表が予定されている。
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Research Products
(1 results)