2002 Fiscal Year Annual Research Report
極微量溶存液によるFCの限界熱流束増大現象の機構解明
Project/Area Number |
14655084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 博司 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (00038580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山城 光 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (70239995)
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Keywords | 電子素子 / 浸漬沸騰冷却 / 伝熱促進 / 非導電性液体 / 微量溶解物 / 自然循環ループ / プール沸騰 |
Research Abstract |
LSIチップ用の自然循環沸騰冷却システムの伝熱特性解明を目的として,蒸発器,立ち上がり管,凝縮器,凝縮液の立下り管,液過冷却器,液流量計,内容積調節用のゴム袋よりなる密閉ループ内に非導電性の冷却液FC-72を充填し,蒸発器の上流側の液配管内に表面積10x10mm^2の模擬シリコンチップを設置して,沸騰熱伝達特性におよぼす液の過冷度および循環液流量の影響を調べた.この実験において,密閉ループを構成する要素機器の接続に使用した軟質塩化ビニール管から可塑剤であるヂオクチルフタレート(沸点386℃)が溶出し,伝熱面に付着することによって核沸騰熱伝達および限界熱流束が大幅に上昇する現象を見出した.清浄面と比較した限界熱流束の上昇は70%に達した.次いで,この現象を定量的に把握するために,プール沸騰実験装置を用い,FC-72中に一定量のヂオクチルフタレートを混入して同様の実験を行った.ヂオクチルフタレートがシリコンチップに付着している状況ではループ系の場合と同様な伝熱促進が見られたが,ヂオクチルフタレート自体はシリコンチップを濡らさない性質を持っており,時間の経過につれてチップ表面から取れてしまう傾向があった.そこで,密閉ループを用いた実験の際に撮影した実験後のチップ表面の拡大写真を調べ,表面に付着したヂオクチルフタレート滴の内部に微細な粒子が多数存在することがわかった.この物質はゴム袋内に残っていたタルク(Mg_3Si_4O_<10>(OH)_2)であることが判明したので,タルクの微粒子をチップ表面に付着させて同様の実験を行った.その結果ループ実験の場合と同様な核沸騰促進および限界熱流束の上昇が見られた.しかし,限界熱流束の上昇は最大40%程度であった.今後,タルク粉とヂオクチルフタレートの複合効果について検討する予定である.なお.伝熱面上の沸騰現象を裏側から観察することを目的として,石英ガラス板上に模擬チップと同一サイズの金薄膜の伝熱面をスパッタリングによって製作した.この伝熱面を用いた実験も来年度に行う予定である.
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Research Products
(1 results)