Research Abstract |
沿面放電は,一方の電極から,樹枝状・放射状に細い放電路を形成し,他方の電極に進展していく。この沿面放電の発生と進展は,印加電圧(種類,電圧値),電極構成(配置,背後電極の有無・形状),ガス誘電体(種類,圧力),固体誘電体(物性,形状),固体誘電体上の残留電荷など非常に多くの要因に影響される。本研究の目的は,照明やディスプレーなどの発光・表示デバイスにへの応用展開に有利と考えられる均一な面状沿面放電を安定に発生させうる放電の制御技術を確立すべく,沿面放電における上記要因を詳細に検討することにある。 放電空間を満たすガスやその圧力によって,沿面放電の進展形態が大きく変化する。また,背後電極の形状や配置の影響も大きい。今年度は,固体誘電体上に逆極性の残留電荷により沿面放電が進展しやすいと考えられる交流電圧下で,乾燥空気中の固体誘電体板上に配置された二つの電極間の放電において,放電の発生と進展に及ぼす背後電極形状とガス圧の影響に焦点を絞って検討を行った。フレキシブルフラットケーブル(導体幅0.8mm,導体ピッチ1.0mm)を背後電極として用い,その背後電極幅,ガス圧を変えて,放電開始電圧,放電電流,放電時の消費電力等の電気的測定,放電の発生と進展の光学的観測を実施し,以下の結果を得た。 (1)放電形態には,誘電体表面を進展する沿面放電とガス空間に拡がる放電の2種類存在する。 (2)ガス圧を低くすることにより,ガス空間の放電から沿面放電に放電形態は変化する。 (3)背後電極幅を狭くすることにより.ガス空間の放電から沿面放電に放電形態は変化する。 これらの結果は,ガス圧力,背後電極の配置・形状によって,放電形態を制御できることを示唆している。すなわち,均一な面状沿面放電を安定に発生させる沿面放電制御技術の確立に重要な結果であり,これらの放電形態と放電電流,消費電力等の測定結果との相関についても検討を行った。
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