2004 Fiscal Year Annual Research Report
健全な河床生態系の形成に必要な撹乱を考慮した新しい生物学的河川環境評価手法の開発
Project/Area Number |
14655178
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 仁士 徳島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50027257)
倉田 健悟 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (40325246)
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Keywords | 付着藻類 / ダム / 洪水 / 珪藻 / 浮流砂 / 河川 / 藍藻 |
Research Abstract |
本研究は,河床礫上の付着珪藻群集から撹乱の状態および水質の2つの事象を同時に評価しうる指標を作成し,その指標の持つ意味を明らかにするために調査および実験を行った. (1)水質指標は,有機汚濁を表す指標であるDAIpoを使用した.撹乱の指標については,珪藻の生活型をもとにして撹乱指数を新たに提案した.撹乱指数は,物理的な撹乱に弱いとされる糸状・帯状付着型の珪藻と堆積作用に強いとされる移動型の珪藻の構成比を100から引いた値とした. (2)評価値におよぼす群集の遷移の影響について検討した結果,DAIpoと撹乱指数の両評価指標ともに,珪藻群集の遷移に伴って変化するものの,30日程度でそれらの評価値は安定することが示された.このことから,評価に用いる群集は,遷移の安定した群集が形成されていると思われる大きな石上から採取する必要があると示せた. (3)撹乱指数と出水との関係を検討した。しかし,撹乱指数は出水の規模や出水後の安定期間の長さのみで決定されているわけではなかった. (4)夏・秋季の撹乱指数は,付着物の無機物の割合との間に高い負の相関関係が見られ,アユや水生昆虫の餌環境の悪化度を評価できることが示唆された. (5)撹乱指数は,平水時の浮流砂の流下量との間に関連性が見られ,これが減少した減水区間では低い値を示し,平水時の浮流砂による撹乱が減少していることを評価できた. (6)浮流砂には河床表面を研磨する作用があることを実験的に示し,付着珪藻群集に対する物理的撹乱要因の1つであることを示唆することができた. (7)本指標を有効に用いるためには,付着珪藻群集を採取する日以前の1ヶ月間にダムの影響を受けない地点では約20m^3/sec,ダム下流の減水区間では約5m^3/sec以上の出水がない場合で,季節では特に夏・秋に本指標を用いる必要があることを示すことができた.
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Research Products
(4 results)