2002 Fiscal Year Annual Research Report
航空機からの遠隔計測による地形情報取得と洪水氾濫数値解析への応用に関する研究
Project/Area Number |
14655179
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地研究センター, 教授 (70117315)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇城 輝 国際航業株式会社技術サービス事業本部, 九州事業部, 技師
堀川 毅信 国際航業株式会社技術サービス事業本部, 九州事業部, 主任技師
大串 浩一郎 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (00185232)
|
Keywords | 航空測量 / リモートセンシング / GIS / 土地被覆分類 / 氾濫解析 / レーザープロファイラー / 空中三角測量 / 低平地河川 |
Research Abstract |
今年度は、まず、地理情報システム(GIS)ならびにリモートセンシングのためのソフトウェアを導入した。流域の起伏差がほとんどない佐賀低平地の河川流域を対象に、地形図、航空写真、河川縦断・横断面図、衛星画像など考えられる情報を全て集め、それらをGISで統合することを試みた。また、国土地理院発行の数値地図も参照したが、起伏差のほとんどない低平地ではほとんど使い物にならず、参考程度に利用した。佐賀低平地においては藩政時代に成富兵庫が作り上げた治水・利水システムがあるが、近年これらの治水遺構もだんだん失われてきている。そこで、近年の圃場整備の影響がない、戦後まもなく米軍により撮影された航空写真(昭和23年)を元に地表データの取得ならびに治水遺構の復元を試みた。ステレオペアの写真と基準点の緯度経度や標高情報などを整理し、空中三角測量ならびにオルソ画像作成、DEM(デジタル地形モデル)構築並びに3次元出力を行った。その結果、米軍写真から得られた画像からは河川中流域の乗越堤や河口付近の干拓堤防などの遺構が見いだされた。これらの治水システムは、雨水を流域全体で受け止めて被害の軽減を図る仕組みとなっている。さらに、最も新しい平成14年度撮影の流域の航空写真を取得し、同様の処理を行い地表情報の時間的な変化について考察した。その結果、かなりの場所で治水遺構がなくなってきていることも分かった。今回得られたDEMは、地表面のデジタル情報であり、氾濫数値シミュレーションのために有効に活用できると考えられる。 また、衛星画像による土地被覆分類ならびに浸水地図をGISで統合することにより、田畑が遊水機能をもっていることや、浸水常襲地帯がはっきりと現れた。今後、この土地被覆分類結果を流域内のサブ流域毎に整理し、分布型流出モデルなどへの活用を図っていく予定である。
|