2003 Fiscal Year Annual Research Report
粒状潜熱蓄熱材と空気との高い熱交換特性を活用した種々の熱利用システムに関する研究
Project/Area Number |
14655202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長野 克則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 靖弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40280846)
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Keywords | 潜熱蓄熱 / 粒状潜熱蓄熱材 / 直接熱交換 / 空気 / マイクロカプセル / 躯体蓄熱 / 床吹出し空調 / 換気システム |
Research Abstract |
本研究は、粒状潜熱蓄熱材(以下粒状PCMと略)と空気との高い熱交換性能を活用した種々の熱利用システムを提案し、その適用可能性と導入効果を定量的に把握することを目的として進められてきた。本年度は、潜熱蓄熱と躯体蓄熱を併用した床吹出し空調システムの開発に向け、実証実験を行い、システム適用時の効果について評価を行った。 まず、床面積9.2m^2の実規模環境試験室を構築した。粒状PCMとしては、昨年度検討を行い、適用に充分な熱交換性能が確認されたマイクロカプセル粒状PCM(以下、FMC-PCMと呼ぶ)を使用した。オフィス空調を模擬した日単位の蓄放熱実験の結果、PCMを用いない場合には夜間移行率ηは50.1%であったのに対し、FMC-PCMを用いて変風量方式で行った場合には、ηは84.8%まで上昇した。この場合の室内温熱環境を、PMVを用いて評価した結果、10:00以降に快適な温冷感となることが示された。 数値シミュレーションにより、PCMの相変化温度を変化させて検討した結果、設定室温が26℃の場合には、19-22℃の相変化温度を持つPCMを用いる場合にηは100%となった。このシステムにおいては、床面からの冷放射の効果が得られるため、設定室温を27℃または28℃としても、昼間を通して快適な温冷感が得られることがわかった。さらに、PCMを用いない条件では空調立ち上がり時に足元の0.5m以下において快適な温冷感にならなかったのに対し、PCMを用いた条件では室内各位置で均一に快適で中立に近い温冷感となり、PCMの利用による温熱環境改善の効果を明らかとすることができた。 さらに、自然外気の導入による負荷削減効果を検討した結果、年間の空調機負荷は、東京で13%、札幌で53%削減された。札幌では特に、5月、10月において約90%以上の空調機負荷が削減された。夜間に外気を導入することにより、年間の空調機負荷、ランニングコストの削減率は20-30%となることがわかった。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] K.Nagano, S.Takeda, T.Mochida, K.Shimakura: "Thermal characteristics of a direct heat exchange system between granules with phase change material and air"Int.J.Applied Thermal Engineering. (現在発行中のため未定).
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[Publications] S.Takeda, K.Nagano, T.Mochida, K.Shimakura, T.Nakamura: "Evaluation of thermal characteristics of building structure thermal storage augmented with granulated phase change materials"Proceedings of 4^<th> International Conference on Cold Climate Heating, Ventilation and Air Conditioning. 1. 69-79 (2003)
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[Publications] S.Takeda, K.Nagano, T.Mochida, K.Shimakura: "Thermal characteristics in direct heat exchange between granulated phase change materials and air"Proceedings of 9^<th> International Conference on Thermal Energy Storage. 1. 657-662 (2003)
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[Publications] S.Takeda, K.Nagano, T.Mochida T.Nakamura: "Development of floor supply air conditioning system with granulated phase change materials"Proceedings of 9^<th> International Conference on Thermal Energy Storage. 1. 317-332 (2003)
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[Publications] 長野克則, 武田清香, 持田徹, 嶋倉一實, 中村卓司: "粒状潜熱蓄熱材を適用した躯体蓄熱床吹出し空調システムに関する研究 第1報 小型実験システムの構築およびその蓄放熱特性"日本建築学会環境系論文集. 579(現在発行中のため未定). (2004)
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[Publications] 長野克則, 武田清香, 小島禎行, 持田徹, 嶋倉一實, 中村卓司: "粒状PCMを組み込んだ躯体蓄熱床吹出し空調に関する研究 (その2)マイクロカプセルPCMと空気の熱交換特性"空気調和・衛生工学会平成15年度学術講演会講演論文集. 2. 917-920 (2003)
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[Publications] 長野克則, 武田清香, 林達也, 持田徹, 嶋倉一實, 中村卓司: "粒状PCMを組み込んだ躯体蓄熱床吹出し空調に関する研究 (その3)オフィス空間模擬試験における蓄放熱特性"空気調和・衛生工学会平成15年度学術講演会講演論文集. 2. 921-924 (2003)
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[Publications] 長野克則, 武田清香, 林謙吾, 持田徹, 嶋倉一實, 中村卓司: "粒状PCMを組み込んだ躯体蓄熱床吹出し空調に関する研究 (その4)実規模実験の概要とピークカット効果の予測"空気調和・衛生工学会平成15年度学術講演会講演論文集. 2. 925-928 (2003)
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[Publications] 長野克則, 武田清香, 中村卓司: "マイクロカプセル潜熱蓄熱材の床吹出し空調への適用に関する研究"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). D-2. 1179-1182 (2003)
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[Publications] 武田清香, 長野克則, 林謙吾, 嶋倉一實, 持田徹, 横山真太郎, 中村卓司, 鈴木道哉, 石黒守: "粒状潜熱蓄熱材を利用した蓄熱型床吹き出し空調に関する研究 その5 実規模環境試験室における蓄放熱特性と室内温熱環境の測定"空気調和・衛生工学会北海道支部 第38回学術講演会論文集. 38. 39-42 (2004)
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[Publications] 武田清香, 長野克則, 林謙吾, 持田徹, 横山真太郎, 中村卓司, 鈴木道哉, 石黒守: "粒状潜熱蓄熱材を利用した蓄熱型床吹き出し空調に関する研究 その6 数値シミュレーションによる温熱環境の予測と評価"空気調和・衛生工学会北海道支部 第38回学術講演会論文集. 38. 55-58 (2004)
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[Publications] 林謙吾, 長野克則, 武田清香, 持田徹, 横山真太郎, 中村卓司, 鈴木道哉, 石黒守: "粒状潜熱蓄熱材を利用した蓄熱型床吹き出し空調に関する研究 その7 外気導入による負荷削減効果の検討"空気調和・衛生工学会北海道支部 第38回学術講演会論文集. 38. 43-46 (2004)