2003 Fiscal Year Annual Research Report
成熟社会に対応した自己恒常型都市公共建築物ネットワークの構築
Project/Area Number |
14655219
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉川 徹 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90211656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹宮 健司 東京都立大学, 工学部, 助教授 (70295476)
角田 誠 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10180035)
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Keywords | 成熟情報社会 / 公共建築物 / ネットワーク / 施設改修 / 機能転換 / 都市機能 / 職住構造 / 小学校 |
Research Abstract |
本年度は次の3点に関して研究を行った。 まず、既存の施設を改修して新たな機能を付加、あるいは機能転換をはかった公共施設を対象に、自己恒常型都市公共建築物ネットワークの構築に向けた基礎的知見を整理するための調査を行った。対象施設は神奈川県横浜市の公立小学校として、平成14年度までに用途変更が行われた全41校のうち、35事例に関して図面の収集とヒアリングを実施した。この結果として、小学校の用途変更における工事の特徴を、旧室空間の用途に着目した3類型によって整理できることを明らかにした。この類型ごとに必要となる工事の抽出は、今後の学校の機能転換にあたっての設計計画や工事計画に有益な知見をもたらすことが期待できる。 続いて、地方自治体の所有する公共施設の全体像の把握に基づく公共建築物ネットワークの構築に向けた基礎的知見を得るために、東京都多摩市を対象として、市役所へのヒアリング、市の所有する公共施設の全数把握、市の総合計画・財政白書・廃校舎活用検討資料の分析に基づく市の方針のレビューを行なった。この結果として、高度経済成長期に多種多様な補助金によって建設された、機能が類似する多数の公共施設の維持管理が、成熟社会を迎えつつあるいま限界を越えつつあることが判明した。さらに多数の既存施設が今後の新たな公共建築物ネットワークを構築する基盤となり得ることを示した。 さらに、図書館など書籍利用を例として、自宅、民間施設、公共施設などを都市機能の観点から統一的に扱った都市機能最適配置数理モデルを構築した。このモデルは、都市機能へのアクセシビリティと総コストのトレードオフの関係を表わすものである。このモデルにより、施設を1ヶ所のみに限定するのは、それが図書館であってもコストの点で不利であり、利用頻度に応じたネットワーク型配置が適切であることが判明した。
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