2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14655243
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
井川 博行 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (30016612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (70288215)
中村 哲朗 神奈川工科大学, 工学部, 客員教授
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Keywords | 光強磁性 / Euイオン / Mnイオン / ペロブスカイト |
Research Abstract |
一般にペロブスカイト型複合マンガン酸化物では正孔ドープにより強磁性が発現し、その強磁性転移温度はAサイトイオンの平均半径が大きいほど高い。またEuMnO_3中でEuイオンは3価であるが、EuTiO_3中では2価であることが知られている。そこでEuを含む複合マンガン酸化物において光照射によりEuが3価から2価に還元され、それに伴いMnが一部3価から4価へ酸化、つまり正孔ドープがなされ強磁性が発現することを期待した。この光強磁性の室温での発現のためにはEuをBaで置換することが有効と考えられるが、置換に伴う物性の変化について系統的に調べた例はない。そこで本年度はEu_<1-x>Ba_xMnO_3の合成を試み、その物性のBa置換依存性を調べた。 単一相はx=0.4まで生成し、それ以上の置換量ではBaMnO_3が不純物相として生成した。結晶構造はxの増加に伴い逐次変化し、x=0.0及び0.1では斜方晶、x=0.2では斜方晶と単斜晶に相分離した。x=0.3では六方晶であり、x=0.4では立方晶であった。酸素量はx=0.0及び0.1では定比3よりやや過剰で、0.2【less than or equal】x【less than or equal】0.4ではやや不足であった。いずれの試料も室温以下で半導体的電気伝導を示し、活性化エネルギーはx=0.0で0.26eV、x=0.4で0.14eVと、xの増加と伴に単調に減少した。20Kでの磁化測定から、いずれの試料もヒステリシスを示した。磁化の温度依存性からは明確な強磁性転移は観測されなかったものの、キュリー・ワイスフィッティングにより、磁気モーメント間の相互作用は、x=0.0では反強磁性的、x【greater than or equal】0.1では強磁性的であることが分かった。また、x【greater than or equal】0.2では磁場中冷却と零磁場冷却とでは磁化が異なっており、このことからBa置換により強磁性クラスター状態が発現していると考えられる。
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