2003 Fiscal Year Annual Research Report
ギガパスカル・オーダー超高強度アルミニウム複合線材の開発
Project/Area Number |
14655256
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小林 俊郎 豊橋技術科学大学, 副学長 (90023324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河部 昭雄 静岡県静岡工業技術センター, 主任研究員
戸田 裕之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (70293751)
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Keywords | 切削粉 / 固化 / 強加工 / リサイクル / 6061アルミニウム合金 / 複合材料 / Fe粒子 / 有限要素法 |
Research Abstract |
最近の研究により、基地に合金の切削粉を用いた場合、Fe粒子が顕著に伸長し、強度も向上することがわかった。この原因を調べてAl-Nb線材並みの高強度を有するAl-Fe線材を作製するため、基地の粒径、硬さおよび化学組成を変化させたAl-Fe線材を作製し、評価した。しかしながら、Fe粒子の伸長は認められなかった。Fe粒子の伸長に関わる他の原因として、強加工中Fe粒子がに受ける応力状態が考えられる。そこで、本研究では、Al粉末と切削粉をそれぞれ基地としたAl-Fe線材が、スウェージング加工中に受ける応力状態の違いを有限要素法(FEM)によって解析し、Fe粒子の伸長条件を検討した。FEM解析には、線材のCT像を利用して作成した3次元のFEMモデルを用いた。 FEM解析の結果を検討したところ、基地が最高時効に熱処理した合金材に相当する、ある強度・硬さレベルに達すると、Fe粒子が変形することがわかった。また、Fe相の形状が複雑になると、局部的に応力3軸度が低下し、その部分で優先的に変形が起こると考えられた。 一方で、Al-Fe線材のもう一つの問題点である高温熱処理時の諸特性の低下について、線材に種々の温度および保持時間で熱処理を施して評価を行い、作製したAl-Fe線材の使用が可能な温度域を調査した。その結果、温度573K、保持時間10ks以降の熱処理ではAl_2FeやAl_5Fe_2等の金属間化合物が生成し、引張強度や導電率などの低下が生じることがわかった。 まとめとして、様々な素材・加工条件の試料の作製、ミクロ組織の3D可視化、FEM解析をあわせて援用することで、Al-Fe純二元系in-situ複合材料線材でナノオーダーの層状組織が形成され、高強度を発現するための条件が明らかになった。また、Al/Fe間で化学反応が生じないための使用条件も明らかになった。
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[Publications] 戸田裕之, 澤村純平, 小林俊郎: "強加工in-situ複合材料技術を利用した金属切削粉のアップグレードリサイクル"軽金属. Vol.54(印刷中). (2004)
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[Publications] Hiroyuki Toda, Toshiro Kobayashi: "Up-grade recycle by consolidating aluminium cutting chip under severe plastic deformation"Materials Science Forum. (印刷中). (2004)
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[Publications] 藤井靖充, 戸田裕之, 小林俊郎: "切削粉の強加工によるアルミニウム合金の創製とその力学的性質"軽金属. Vol.53 No.9. 368-372 (2003)