2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識と相分離を利用する易水溶性分子の水溶液からの高効率分離回収法
Project/Area Number |
14655332
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮野 壮太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60005501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壹岐 伸彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50282108)
服部 徹太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70241536)
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Keywords | チアカリックスアレーン / カリックスアレーン / 包接 / 易水溶性分子 / 結晶構造 / 塩析 / アルコール |
Research Abstract |
当研究の目的は新規ホスト分子チアカリックスアレーン(TCA)の易水溶性分子に対する包接能を用い,その高効率分離回収法の可能性を検討するところにある.当年度は下記を検討した (1)易水溶性分子の適用限界の調査 水溶液中でのTCAの包接および塩析を通して得られた塩析物を重水に溶解させ,TCAに対する易水溶性ゲスト分子の平均結合数nを調査した.アルコール(ジオールを含む),ケトン,エーテル(環状を含む),エステル,アルデヒド,アミン,ニトリル,ニトロ化合物,DMSO,DMFなど,検討したゲストの多くについて,n【approximately equal】1であることが分かつた.ホスト分子としてTCAと従来のメチレン鎖型カリックスアレーン(CA)を比較すると,全般にTCAの方が多くのゲストに対して優れた包接能を示していた. (2)包接・塩析機構の調査 包接機構に関しては,エタノール包接錯体のX線結晶構造解析を行い,空孔内での疎水性相互作用と共に,ホストのスルホ基とゲストの極性基の間の極性相互作用が重要であることを明らかにした.たとえば,直鎖アルコールに対するTCAの包接能は以下の序列であり,上記の二つの相互作用が効果的に働くためにはアルキル鎖長が重要であることを示している.CH_3OHの例外的な挙動は,ゲストの水との親和性が大きいこと,および上述のように分子容から疎水性相互作用が効果的に働かないためと結論される. 【chemical formula】 一方1,4-ジオキサンの塩析生成物は1:2(H/G)の組成であった.これについて結晶構造解析の結果,ゲスト分子がTCAの対イオンNa^+に配位していること,さらにTCAのOH基と水素結合していることを明らかにした.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Kon, N.Iki, S.Miyano: "Inclusion Behavior of Water-Soluble Thiacalix-and Calix [4] arenes for Substituted Benzenes in Aqueous Solution"Organic and Biomolecular Chemistry. 1・4. 751-755 (2003)