2002 Fiscal Year Annual Research Report
キラル炭素鎖のらせん状超分子を用いる鎖型重合の情報複製
Project/Area Number |
14655349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029322)
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Keywords | ラジカル重合 / 水素結合 / 結晶構造解析 / 超分子 / キラリティー / 1-ナフチルメチルアミン / ジエン誘導体 / 不斉重合 |
Research Abstract |
我々の研究グループは共通周期5Åをもつ結晶性三重層分子集合体を発見した。このらせん状超分子では、水素結合網の周期に加え、モノマーとポリマーの周期がほぼ一致している。そのため、共役ジエンモノマーを用いると、将棋倒しの要領で反応して完全な不斉誘導重合がおこる。そこで本研究はキラル結晶を探索して一方の鏡像体のみを合成し、生成高分子の立体構造が転写されるかどうかを調べることを目的とした。得られた成果をいかに列挙する。 1.カルボキシル基を含む共役ジエンモノマーと、各種のアミンからなる有機塩を多数作り、重合反応場となる、共通周期5Åをもつ三重層分子集合体の合成を行った。 2.三重層分子集合体の共役ジエンモノマーの重合を光照射により行い、これらのモノマーの重合性を赤外吸収分光法やX線粉末回折法で追跡した。 3.生成高分子の化学構造と立体構造を、赤外吸収分光法、核磁気共鳴分光法、熱重量分析法、X線粉末回折法などにより調べた。これにより生成した高分子鎖1つは立体構造を維持して重合していることがわかったが、全体として得られた高分子はラセミ体であることが解った。 4.重合反応の機構を立体的要因から明らかにするために、モノマーを含む多数の有機塩の単結晶をつくった。そのX線構造解析を行い、三重層分子集合体の三次元データを得た。その結果から、重合後に予想されるポリマーのカルボニル間の距離と、有機塩で得られた結晶構造のカルボニル間の距離がほぼ同じであるために、結晶構造を維持することができ、立体構造を維持したまま重合反応が進行したという結論に至った。
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[Publications] A.Matsumoto: "Reaction Principles and Crystal Structure Design for the Topochemical Polymerization of 1,3-Dienes"Angew.Chem.Int.Ed.. 41・14. 2502-2505 (2002)
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[Publications] T.Itoh: "Topochemical Polymerization of 7,7,8,8-Tetrakis(methoxycarbonyl) quinodimethane"Angew.Chem.Int.Ed.. 41・22. 4306-4309 (2002)
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[Publications] N.Yoswathanont: "A Novel Three-component Pseudo-polymorphism in the Cholamide Inclusion Crystals Promoted by the Combination of Organic Guest and Water"Chem.Lett.. (12). 1234-1235 (2002)
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[Publications] K.Kato: "Interpretation of Enantioresolution in Nordeoxycholic Acid Channels Based on the Four-location Model"Chirality. 15・1. 53-59 (2003)
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[Publications] N.Yoswathananont: "Dependence of Selective Enclathration on Types of Cholic Acid Crystals"Organic & Biomolecular Chemistry. 1・1. 210-214 (2003)
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[Publications] 宮田幹二(分担執筆): "一目でわかる先端化学の基礎"大阪大学出版会. 119-124 (2002)