2002 Fiscal Year Annual Research Report
果実肥大機構解明のための単一柔細胞内での糖代謝関連遺伝子の発現解析の可能性
Project/Area Number |
14656013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 助手 (80335306)
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Keywords | マイクロマニピュレータ / ナノリッターオズモメーター / プレッシャープローブ / 単一細胞 / 果実肥大 |
Research Abstract |
本年度はまず、単一細胞での糖含量・組成、浸透圧、膨圧の測定精度を確実なものとするために、これまでの実験系の改良を検討した。すなわち、ブドウ果粒を用い、ベレゾーン前後の果肉細胞の糖含量・組成、浸透圧、膨圧の測定のために、酵素反応を用いた蛍光顕微測光、ナノリッターオズモメター、プレッシャープローブをそれぞれの測定に用いることを検討し、その測定精度を確実なものとした。特に本年度、はじめて測定を試みたプレッシャープローブに関しては、マイクロマニピュレータを改良することで装置を自作し、その測定が確実であるかどうかを特に検討した。その後、開花期にジベレリン処理により果粒肥大を促進させたブドウ果実およびベレゾーン前のABA処理により成熟を促進したブドウ果実を用い、単一果肉柔細胞の糖含量・組成、浸透圧、膨圧測定を検討した方法により経時的に行い、細胞肥大とこれらの変化との関係を調査した。その結果、ジベレリンによる細胞肥大は細胞への糖蓄積の促進による浸透圧上昇が大きな要因として働き、ABAによる果実成熟促進には膨圧の低下が主たる要因として作用していることが細胞レベルで明らかとなった。 最後に、マイクロマニピュレータにより採取した単一細胞からの細胞液を用いて、mRNAの単離が可能かどうかという点に関してブドウ果粒を用いて予備的に検討したが、単一細胞からの採取液では全くシグナルを検出することが出来ず、今後、その採取法およびその採取液の分析法の双方を検討する必要性が明らかとなり、この測定が実現するためにはかなりの時間が必要となると思われた。
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