2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物の罹病時特異的発現遺伝子の制御機構の解析とその利用に関わる基礎研究
Project/Area Number |
14656019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
一瀬 勇規 岡山大学, 農学部, 教授 (50213004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 善茂 岡山大学, 農学部, 助教授 (50280764)
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Keywords | 罹病時特異的 / サプレッサー / OPR / オクタデカノイド / ジャスモン酸 / α / β不飽和カルボニルグループ / 脂質代謝 / oxylipin |
Research Abstract |
エンドウ褐紋病菌の生産するサプレッサーは、エリシターによって誘導されるエンドウの防御応答を特異的に抑制あるいは遅延させる。本病原性因子サプレッサーの親和性確立における機能を解析するために、エンドウにおけるサプレッサー応答性遺伝子のcDNAの単離を行い、クローンS64を同定した。S64-mRNAはサプレッサー処理上胚軸では顕著に蓄積が誘導されたが、無処理、傷処理、あるいはエリシター処理上胚軸では殆ど発現は見いだせなかった。また、エンドウ葉にエンドウ褐紋病菌を接種した場合、S64-mRNAは6時間後から蓄積されたが、水処理葉や非病原菌であるヒヨコマメ褐斑病菌接種葉では発現されなかった。塩基配列を決定した結果、S64-cDNAは371アミノ酸からなる分子量41.4kDaのタンパク質をコードしていると推測された。S64推定タンパク質はジャスモン酸合成系の12-oxophytodienoate reductase(OPR)などflavoprotein α/β-barrel oxidoreductasesと高い相同性を示すことから同様な触媒活性を持つことが推定された。ここで、大腸菌を用いてS64組換えタンパク質を生産し、NADPHの消費量を指標にOPR活性ならびにモデル基質である2-cyclohexen-1-one還元活性を測定した。その結果、S64はこれらの活性を有することが明らかにされた。このことはサプレッサー処理により、OPRが活性化され、結果としてジャスモン酸の合成が誘導される可能性を示唆している。更に、メチルジャスモン酸をエリシターと共にエンドウ上胚軸に同時処理すると、エリシター誘導性のPAL発現を抑制したことより、ジャスモン酸がエンドウ褐紋病菌感染時における罹病性シグナルである可能性が推定された。
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Research Products
(1 results)